劇場公開日 2022年3月25日

「シェイプオヴウォーターはいい映画だったけど、この映画は好きではない...」ナイトメア・アリー えみりさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0シェイプオヴウォーターはいい映画だったけど、この映画は好きではない...

2022年3月27日
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鑑賞方法:映画館

シェイプオヴウォーターはいい映画だったけど、この映画は好きではない。世界があまりに貧しい。見ていて全く幸福もカタルシスもやってこない。妻だけが救いか。俳優だけ見たくて見た。主演の人も力はあるけど、もともと好きな人ではない。この世界にピッタリの俳優だ。
とはいえ、シェイプオヴウォーターから類推するに、ラストの人獣については、監督はそこにむしろ同一化しているというか、単なる敗北と描いてないふしもある。読心術とは、ペテンのように見えて、真実に近づくテクニックだし、それは、カウンセリングもそうである。最も不幸なのはカウンセラーで、それに比べれば、逃げ続けていても彼の方がピュアなくらい。
赤ん坊の造形に監督のエネルギーが注ぎ込まれているのがわかる。父親に対する底しれぬ憎しみも本来的には回収されていない。まだ次の映画がいるのだろう。

えみり