「シリーズ未見でも楽しめる」劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
シリーズ未見でも楽しめる
一応テレビシリーズからの続きだが、独立した物語としてテレビシリーズ未見の人でも楽しめるように構成されている。本作のドラマの中心は、主人公のリムルよりも映画オリジナルキャラクターのヒイロやトワなので、それほど予備知識を必要としないと思う。オーガ族がかつて村を滅ぼされて、少数の生き残りがリムルの元に集っているという点だけ知っておけば多分大丈夫。物語の構造は極めて明快に勧善懲悪で、小国を身を犠牲にして収める女王がいて、それを陥れようと企む輩をリムルたちの介入で排除するというもの。その中でオーガの生き残りたちの絆が描かれる。悪い奴が倒され、苦しんでいた人が救われ、仲間が増えていく。複雑な世の中なので、これくらいシンプルな物語はたまには良いなと思う。
ちょっとそれでも考えたくなるのは、スライムという存在の面白さ。なんにでも変型できて、性別概念もない。何の属性もなかった状態から始まるから、何にでもなれる自由さがある。人間は生きてるだけで属性が増えまくってしまう。人種とか性別とか国籍とか社会的地位とか、そういうの全部取っ払ってしまったスライムという状態は確かにちょっと羨ましいと、本作を観ると思う。
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