劇場公開日 2021年9月24日

「オリジナル版を限りなくリスペクトしながらも印象的なドラマをチョイ足ししてエモーショナルに仕上げた野心作」THE GUILTY ギルティ よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0オリジナル版を限りなくリスペクトしながらも印象的なドラマをチョイ足ししてエモーショナルに仕上げた野心作

2022年1月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

“真理は汝を自由にする“というヨハネによる福音書からの引用が最後にガツンと効いてくる見事な脚本。徹頭徹尾罪を見つめる物語ですが、蛇の存在がタイトル通りの罪の象徴ではないところも福音書から引いてきていることに気付かされてハッとしました。とことん音声でドラマを転がすことに特化したデンマークのオリジナル版に対して映像で補完する描写がある分解りやすいのが若干物足りないですが、その分人間ドラマが微妙に分厚くなっています。イーサン・ホーク、ポール・ダノ、ピーター・サースガードといったエンドロールを見るまで判らない絶妙な配役も素晴らしく、アクション要素が微塵もないドラマでもスリリングな演出を披露してみせたアントワン・フークワの実力に唸りました。本作だけ鑑賞しても全然面白いですがオリジナル版との比較も一興です。ジェイク・ギレンホール主演なので、『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』を観た後だとミステリオの贖罪の物語にも見えてしまいます。

よね