劇場公開日 2021年9月24日

「演技・演出が凄すぎる」THE GUILTY ギルティ ARIZARさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0演技・演出が凄すぎる

2021年11月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

興奮

知的

「ほぼ一人芝居」「ほぼ同じ場所」という面白くなさそうな設定なのに、思いがけずどんどん引き込まれていった。

その理由は、ジェイク・ギレンホールの迫真の演技と、秀悦なストーリー展開と、巧妙な演出。
観終わった後に、よく出来た映画だと感心するほど。

小さな話が発展しながら、散りばめられたいくつもの小さな話が少しずつ繋がり、次第に大きく全体像を見せてくる。最後には本筋テーマの愛と正義を鮮明に描く。音声や編集も素晴らしい。

無駄なシーンやセリフが一つもなく、全てに意味があり最後に繋がるので、主人公は何故イラついているのか、何故この仕事をしているのか、何故それを言ったのかなど、問とヒントを複数持ちながら次第に解けていく面白さもある。

ラストシーンのジェイク・ギレンホールの演技は圧巻。
他人に対して正義と人間愛を必死で貫いた主人公が、自己に対して正義を貫いていない鏡の向こうの自分に向き合い、罪悪感「ギルティー」に苛まれ、自己を吐き出すかのように嘔吐する。
キャリアを失っても正義を貫く決意をし、それにより娘と会えなくなる絶望。その複雑極まりない心の機微を見事に表現している。

子供への愛や別居離婚など、共感ポイントが少ない人には主人公に対する理解と感情移入が困難であろうから、この映画への評価は低くなってしまうのは想像できる。
わかる人にもっと評価されるべき作品だと思う。

ARIZAR