「やっぱり鳩がキーワードか?」君を愛したひとりの僕へ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
やっぱり鳩がキーワードか?
こうなったらMONDAYSでもジョン・ウーでも持ってきやがれ!って感じの鳩。まぁ平和なんだけどね。とにかく、大流行のパラレルワールドもの。しかも原作者は中学生の頃の妄想から生まれたと公言してるくらいだから、中高生向けなんだろうと高をくくっていた。
さすがに両親の再婚により兄妹となった2人が結婚できないと悩むところから。う~ん、小学生の頃に少女漫画(少年誌にもあった)をよく読んでいたから、結婚できることは知ってたぞ。頭がいい暦君なんだから、そのくらい知ってろよ・・・
パラレルワールドの設定として、人間の身体が直接移動するわけじゃなく意識(虚質)が違う世界へと移動するもの。この説明は丁寧。同じ人間が同時に存在することはないので破綻は起きそうにない。まぁ、平たく言えば心が入れ替わるって感じの設定。ただ、高度な機械に頼らなくても近い並行世界には気づかぬうちに移動しているみたい・・・
交通事故によって肉体と虚質が分離してしまい、元の世界の栞が脳死状態になってしまうという大事件。しかし、昭和通りの事故現場には栞の幽霊がずっと現われ、それは暦にしか見えない。何とか元に戻そうと勉強、研究を続けた暦は栞の元の身体も死んでしまったことに落胆する。
で、最終手段がタイムリープ?!結局そっちかよ・・・と観客の落胆も大きいと思う(俺だけか?)。分岐点がどれだけあるかわからないけど、僕愛で100人がどうのこうの言ってたから、意外と世界は小さい。IP端末も三桁だったしね。だけど、人間の数と分岐点とを掛け合わせると膨大な数字になるはずで、迷子になってもいいから、パラレルだけで攻めてもらいたかったな。
そして重要な「愛」ですが、タイムシフトして暦と栞が出会わなかった世界にする方法を採ったりして、結局は暦の「贖罪」感が強い。知らない所で幸せになって欲しいという「愛」だとしても、それは見る者にとっても切なくなるだけ。タイムトラベルものによくある死の回避に他ならないのです。二度目の人生を終える間近にあんなことやこんなことも・・・と、全然幸せな気持ちになりませんでした。逆に自分の死に際まで考えちゃった・・・ほぼ74歳の老人。そっちの方が自分に近いからなぁ・・・てか、科学がこれだけ進歩してるのに寿命は長くならないのね。