劇場公開日 2022年10月7日

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「2作品観ないとどちらも楽しめない?」君を愛したひとりの僕へ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.52作品観ないとどちらも楽しめない?

2022年10月9日
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鑑賞方法:映画館

難しい

昨日の「僕愛」に引き続き、本日は「君愛」を鑑賞してきました。どちらかというと、本作の方が理解しやすかったですが、それは脚本のおかげというより、先に「僕愛」を観ていたからだと思います。

ストーリーは、両親の離婚に伴い父と暮らしていた小学生の日高暦が、父の職場で出会った佐藤栞と惹かれ合うものの、互いの親同士の再婚により兄妹になってしまうため、そうならない並行世界への駆け落ちを敢行するが、そこで思わぬ運命に陥ってしまうというもの。

大筋は時系列に沿って描かれており、先に「僕愛」を鑑賞していたおかげで、パラレルシフトのタイミングや、シフト後の違和感の正体もわかり、作品世界に浸りながら観ることができました。とはいえ、栞のサルベージ計画が本格化したあたりからまたもや理解が追いつかなくなってきました。というわけで、昨日に引き続き、理解することは諦めて、人物の心情に寄り添うことにマインドシフト。おかげでなんとなく穏やかな気持ちで、暦と栞を見守ることができました。

ちなみに、こちらの作品はエンドロール後の映像があり、これは絶対に観ないといけないやつなので、間違っても途中で席を立ってはいけません。ラストのセリフ(同日公開の「7人の秘書」とかぶる)も、「僕愛」にリンクします。あと、映像やキャストについては、「僕愛」レビューで触れたので割愛します。

さて、「僕愛」「君愛」の2作品を観ての総合的な感想ですが、まずは2本同時公開で並行世界の二つの物語を描くという発想は評価したいと思います。おそらく多くの人が気になって両作を鑑賞すると思います。加えて、複雑なストーリー展開と、両作にリンクするように散りばめられた伏線のおかげで、先に鑑賞した作品をもう一度観て確認したくなり、興行戦略的にもうまいやり方だと感じます。

でもね、本来なら一本一本が単体で成立していなければならないのではないでしょうか。複雑な展開のおかげでラブストーリー要素は薄まっているように感じましたし、もう一方の作品を観ないと理解できない部分が多すぎるように感じました。例えば、「僕愛」だけでは栞の存在が、「君愛」だけでは和音の存在が、意味不明に映るのではないでしょうか。「2作品観た人だけがわかるそれぞれの愛の結末とは」という宣伝文句は「単体で観ても楽しめるが、2本でさらに真の意味がわかる」と捉えていたのですが、どうやらそうではなく「2作品観ないとどちらの作品も楽しめない」という意味のようです。もっとも私の理解力が足らず、そう感じただけかもしれませんが…。

話題性があるので客入りは悪くないように感じましたが、総じて満足度はイマイチなような気がします。せっかくのおもしろい試みであっただけに残念です。

おじゃる