劇場公開日 2022年6月3日

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「どこまでもスピンオフ」機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島 バラージさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 どこまでもスピンオフ

2025年9月12日
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鑑賞方法:映画館

単純

『機動戦士ガンダム』第15話「ククルス・ドアンの島」を、キャラクターデザインだった安彦良和の監督でリメイクというかリブートした映画。安彦のマンガ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に準拠した設定で、ジャブロー戦とオデッサ戦の間に位置する物語となっている(『ORIGIN』ではホワイトベースの航路は北米→南米→大西洋→ヨーロッパというルート)。映画のククルス・ドアンの島はイギリス沖にある設定だった(テレビ版では確か太平洋)。

うーん、やっぱり安彦版だなぁという感じ。安彦の作品は安彦の作品で面白いんだけど、ガンダムのリメイクを作られちゃうと、どちらかというと富野派の僕としてはやや違和感を感じる部分がある。登場人物の性格設定や描写が微妙に安彦風にマイナーチェンジされてるんだよな。それとあくまでリメイク(だかリブートだか)だから1度観た話をもう1度見せられてる感は否めないし、何より独立したエピソードとはいえ物語の途中の話で、映画としてはそれだけで完結した1本の物語になってないのがマイナス。結局、一種の外伝とかスピンオフであって、三部作のパート2だけ観てるような感じになってしまう。

また単純に1本の映画として観ても、せっかくの新敵キャラの性格設定が陳腐で類型的な上に深く掘り下げられてないのも面白くない。島の子供たちの描写が僕の嫌いなウザさだったのもちょっとイラついた。映像表現的にも『閃光のハサウェイ』には遠く及ばない出来だ。まぁ、つまらなくはないし、それなりに面白いことは面白いんだけど、わざわざ映画館で1本の映画として観るほどかっていうとそこまでの映画ではないかなぁというのが正直な感想です。

バラージ
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