劇場公開日 2021年12月24日

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「ただ 極悪」ただ悪より救いたまえ YAS!さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ただ 極悪

2022年1月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

「彼氏と子供のどちらを取るのか?」と尋ねられた時の、揺れる女心を手ぶらさせたカメラで表現したり
シーンの途中で、撮影速度を変えたり
光源にもキチンとメリハリが つけられ、明暗部の意味合いも良く表現できている。
最後の”手りゅう弾シーン”直前での音響の入れ方も見事で、
ストーリーに多少強引さはあるが、撮影・証明・音響等の演出が完璧であり
よほど監督とスタッフの演出打ち合わせが念密にできていたのでしょう 監督の優秀さが良く解かる。
とても完成度の高いアクション映画でした。

悪党対悪党なので、何でもあり、
人を安易に殺しているから、殺し屋なのだが
それでも主人公の心底からの悪は表現できていない。
どちらかと言えば、主人公は 心静かな網走帰りの”高倉健さん”
しかし”耐える”演出はないし、殺伐とした眼力もない。
シナリオ的には父親として、娘を守ると言う”責任感”は伝わってくるが、
娘が自分を父親と認識していない悲しさに対しての葛藤が映画には入っておらず、残念。
即ち「自分が父親だ!」と言い出せないシーンが欲しかった。
しかし最後の見納めシーンは悲しい。

この映画に予想されたスプラッターホラー的 ”目を覆ってしまいたくなるような残酷シーン” を危惧していたが、
それがなくて安堵したが、
おそらく撮影済みで、今公開後に”ディレクターカット版”がお目見えするのに期待します。 たぶん ソレは観ないけど。

この映画を観たら、日本のヤクザ映画「昭和残侠伝 破れ傘」と観比べたくなった。
最近では「孤狼の血」かな
でも、この映画は「野生の証明」だと思う。

YAS!