劇場公開日 2021年12月10日

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「退屈と思うか?のめり込むか?」GUNDA グンダ バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5退屈と思うか?のめり込むか?

2022年1月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

どうしようか悩んでましたが、観てよかった。
どうやって撮ったんだろう?な映像ばかり。

とても当たり前だけど、生物がいるだけで、
生きているだけで「ドラマ」が生まれるんだなぁと。
生きとし生けるもの、全ての命が奇跡であり
その一生に喜怒哀楽がある。それはもしかしたら
1日、1時間、1分の単位であるのかもしれない。

本作、まぁドキュメンタリーですが、
余計なものを削ぎ落とし、必要な部分を思いっきり
磨いた結果の1本だと思います。
根拠ありませんが「無駄がないなぁ」って思いました。
必要最低限の文字だけで情景と感動を伝える
俳句みたいな作品でした。

例えは思いっきりチープですが、1日酪農家の牧場で
そこにいる生き物をぼんやり観察していたような気分です。
そんな、そんな視点なのに、どうしてこんなに心が
揺さぶられるんだろう?
前述した「ドラマ」が切り取られているからなんでしょうね。
それはそれは素晴らしいです。

ラストのイベントがあってもなくても感想は変わりません。
ラストのそれはある意味「映画っぽくした」ものなのかも
しれません。いや、違うかな?
ドキュメントとして入れるべきシーンだったのかな?

それもこれも、まるっと「その場所の日常」であり
「現実」なんでしょうね。その現実をどう見るか?は
観客次第。
鑑賞後に読んだ監督のインタビュー記事にあった
「ヴィーガンのプロパガンダ索引にしたくない」という発言。
成功していると思います。
ただ現実をしっかりと映し、我々に提供する良質な
ドキュメントとなっていると思います。

もちろん監督は表現者ですから、感情が映っていないという
ことはありませんが、プロパガンダにはなっていないのは
確かです。

戦地の避難民の方々の表情や瞳が気持ちを語るように
グンダも雄弁に語っているのではないでしょうか?
(監督が語らせたとも言えます)

大人にも子供にも、たくさんの方々に見ていただきたい。
そして正解はないですが色々考えてみてほしいなって
思いました。

「退屈」になるか「興味深い」とあるか?は見る方次第。
これまた正解はありません。当たり前ですが。

僕は、また観たいと思いました。

バリカタ