劇場公開日 2021年12月10日

「「お楽しみ」はラストに2回あるので注意/200本見てよかった映画など」ドント・ルック・アップ yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0「お楽しみ」はラストに2回あるので注意/200本見てよかった映画など

2021年12月11日
PCから投稿

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2021 12/15 誤字脱字を修正
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今年201本目(合計265本目)。
いつもは行かないシアタス心斎橋さんですが、放映されている場所が極端に少ないためここへ。

序盤こそ天文や物理、数学に関してマニアックな内容が出てきますが、それは前半だけで(一部説明不足なものは補足を後ろに入れてます)、後は他の方も書かれている通りブラックコメディという分類になるのでしょう(天文(宇宙)のお話は全体にわたってのテーマですが、内容的に理解が必要なのは最初の10分程度と中盤~ラストにわたってのごく一部だけであり、全体に流れるテーマではあるとはいえ、それを前提にする作りになっていない)。

まぁ実際の大統領の名前を出すと問題になるのでそこは架空名になってますが、まるでやる気がない(中間選挙に夢中)な大統領が興味を全然示さず問題がどんどん先送りにされるかと思えば、感情を察知してAIのように動くスマホを開発したという企業が、(彗星に含まれるレアアース目当てに)色々ちょっかいを出してきたりと、なかなかひねりが入っています。
この映画自体は実はネットフリックス契約者ならあと2週間もすればそこで見られるのですが(もちろん契約しているのが前提)、ネットフリックスで見る映画というより映画館でぜひ…というところです(ただ、放映している映画館が極端に少ないのが残念)。

お話のストーリーもブラックな展開が多く、「ある意味で」エンディングまで理不尽な展開が続くのですが、それも込みなのでしょう。極端に意味不明でもないですし、延々と140分近く天文(宇宙)の話だけで持たせようとすると日本でもどこでもなかなか厳しいので(天文教育に力を入れている国というのはほぼない)、そういうお話をまぜてその系統のストーリーにするのは仕方がないのでは…と思います。

ネタバレというネタバレはあるのですが、結構多数にわたる上に、うっかり書くとネタバレが連鎖してしまいかねないのであまり書かないほうが良いのかな…。
公開されているように、ネットフリックスで公開予定(のものを、一部の映画館では先行上映している)の映画とは思えないほど豪華なキャスティングになっているし、ストーリーの展開も今時(2020~2021、もうすぐ2022年)にありがちなテーマ(スマホの件などは最たる例だし、レアアースの取り合いも日本も無関係ではない)を色々入れているのは良いのでは…と思います。

確かに内容的にブラックジョークというかブラックストーリーという色合いが強く、エンディングまでかなりブラック(救われる人が少ない)というタイプなのですが、それ込みで見ても今週は本命~準本命に来そうな気がします(やっている映画館が少ないのが残念)。

採点にあたっては、特に差し引く要素はないのでフルスコアにしています。
また最初に書いたとおり、最後のエンディングクレジット時の「お楽しみ」は2回ありますので(主要な方のクレジット表示のあと1回、全体が終わってから1回の、合計2回)注意です。

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▼ 映画内で必要な知識
 オールトの雲: 私たちの住む太陽系の、冥王星をはるかに超えた場所に、太陽系を取り囲む(環上に囲む)とされる天体群(大半は小惑星)のことです。
ただ、実際には存在は証明されておらず、太陽系の成り立ちから「あると考えるのが妥当」という考え方でこの名前もついていますが(オールトはオランダの天文学者)、存在するかどうかは天文学上未解決問題です。

 ガウス法: ここでは、数値計算をコンピュータ等でやらせた場合の誤差を補正する方法をいいます(コンピュータで数値計算をやる以上、誤差は必ず出ますので、それを補正するというのは絶対に必要で、その手法の一つがガウス法です)。
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 ▼ 2021年に200本以上見てよかったなと思える映画(VODや2020年からのリバイバル放映を除く)

  ・ プリテンダーズ: ミニシアター中心ですが「適正なSNSの使い方」などに焦点があてられている一方、いわゆるシスターフッド映画にも分類でき、内容もよく練られているところがあります。今年はまだあと20日ほどありますが、2021年にベスト5までつけるとすれば、本作品が1位か2位かに入るのではないか…と思います。

 ・ 王の願い・ハングルの始まり: ハングルは李氏朝鮮の世宗大王が作ったことは間違いありませんが、単独で作ったのか他に協力者がいたのか等、(韓国国内でも)未解決な問題があります。本作品は「こういう解釈もあり?」という一つの仮説で作られた映画で、それが正しいとは断定できませんが(そもそも未解決問題)、明らかに「支離滅裂な説」でもないですし、内容としてもとてもよく練られていたなという印象です。

 ・ チャサンオボ: これもまた韓国映画。ポスターを見ると「魚介類を扱った映画なのかな」と思いきやそれはトラップ。当時の韓国(李氏朝鮮、19世紀)の身分差別や過酷な税の取り立てなども描いた内容で、さらに「大学」や「論語」、漢詩をたしなむシーンなど、実に多彩な学術的な内容を含んでおり、やはり推せるのかな…という気がします。

 ・ サンドラの小さな家: 2021年6月終わり時点での「上半期の良かった映画」にも書いた内容の再掲になりますが、DV夫から逃れて小さな夢をかなえるために色々な人の助けを借りながら自分の夢をかなえていく姿がとても好印象です。

 ・ 最後の決闘裁判: 百年戦争の中の一つの出来事を描く実話映画。当時は女性の身分も低く、舞台となるフランスでさえ男女同権という単語すら存在しなかった時代に女性が声をあげたという実話ベースの物語は好印象です。

 ・ ベイビーわるきゅーれ: 新人~10作品くらいの新人監督さんの映画で、決して放映されている映画館は多くはなかったものの、「低予算だからといって妥協しない」という点はかなり印象に残りました(出演者の方も言われているように、スタントマン・スタントウーマンという表現の差をなくし、「スタントパフォーマー」という表現を確立させていきたい、という意見にも賛同できるところもあります)

 ・ アイの歌声を聞かせて: アニメ作品として推すなら、本作品か7月かの俳句の映画(名前忘れた…)が入ってくるかなと思います。「秘密は最後に明かされるんだよ」という予告通り、エンディングは意外な展開になります。AIとの共存というのは近いうちにやってくるのであり、それを「先取り」して数学・コンピュータサイエンス的にも妥当な描写がされていること、また、考えさせる点が多い(人とAIは共存していけるか、等)ことなど考えると、「アニメ枠」としてはこちら(か、俳句の映画)になるかなと思います。
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yukispica
yukispicaさんのコメント
2021年12月15日

ご指摘ありがとうございます。
間違っていたので修正しました。

yukispica
H1DE!さんのコメント
2021年12月14日

チョサンオボ?
チャサンオボ?

H1DE!