ちょっと思い出しただけのレビュー・感想・評価
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誕生日。朝焼け。だから、ちょっとだけ感傷に浸ってみたりする。
ジム・ジャームッシュのナイト・オン・ザ・プラネットに触発された物語。ウィノア・ライダーのロサンゼルス編はもとより、ヘルシンキ編(不幸のその日の客)だったり、ジャームッシュ繋がりの永瀬正敏がパターソン的にベンチに座ってたりしてまして。フフフってなるw
ゆったりとした進行で、誕生日を「年めくり」で巻き戻して行くと言う構成。115分の長さは全く感じません。
物語りの軸は恋愛。背景に世相らしい世相も思想らしい思想も無し。ジャームッシュ偏愛脚本で、サクサクと場面場面をこなして行きながら、登場する人物の人物像と関係性、その時に置かれている環境を描き出します。
コレがですね。舌足らずなんですよ、脚本としては、多分。松居大悟監督って、もっと「濃い」印象だったので意外だった。何にしても、その舌足らずに持って来て、このコンビ。伊藤沙莉と池松壮亮と言う、子役から成人した2人が演技で補完してる訳で。
「夢を追い掛ける男」と「愛と現実に折り合いを付けようとする女」。地に足が着いてる女の子役が伊藤沙莉にドンピシャなのと、優しく恋愛には受け身な男が池松壮亮にも合い過ぎ。
ここ数年の東京テアトルでは、コレが一番好きかも。
ちょっと思い出しただけの女。夢を捨てきれずに折り合いの付け方も見つからない男。ビターで塩っぱい夜明けが、コレまたナイト・オン・ザ・プラネットでニヤってなった。
良かった。かなり。
7月26日に起きた私たちの出来事
1 一組の若い男女の出合いから別れ、そしてその後の姿を技巧的な手法で描いたある恋愛の記録。
2 映画は、二人の今から始まる。女性はタクシー運転手。男は元ダンサーで舞台の照明担当。女性が乗務中、偶然に男を見かけ、かつての思い出が湧き出るように、映画は時間軸を逆に辿っていく。
回想場面では、二人の関係の移り変わりや周囲の人との出来事が点描される。
出会いのときのワクワク感や恋愛感情がマシマシになるときの幸福感がよく出ていた。夢の中で待ち合わせしようとじゃれながら眠りにつく二人。
4 転機になるのは男の怪我。踊れなくなることの絶望感と焦燥から彼女から距離を置く男。面倒を見てあげるから身を任せてという女。上手く行ってないことが、女の乗務中のイライラから解る。二人は別れ、その後別々の人生を歩んでいく。あの当時の思い出は消えることはなく、ふとした契機にちょっと思い出す。それでも過去に引きずることなく前に進んでいく。
4 松居は、 特定の日を経年的に遡りなが ら、小出しに場面を示し謎を少しずつ解いていく演出により、観客を引き込んでいった。また、幸せの象徴としてケ−キや髪留めの小道具を効果的に使い、男が行う朝のルーチンの描写の違いにより彼の身に起きた事柄を示した。タクシーから別れ際の告白シーンや高円寺の商店街での移動シ−ン、屋上での花火など夜のシ−ンに印象的な場面を創っていた。
5 池松は舞踏家の役柄になりきり、劇中の経年に応じた体造りやぶっきらぼうにも聴こえる台詞回しなど役者をしていた。伊藤は、ちんまりした制服姿と衝動的な行動が愛おしい。ストーリーとは関係はないがマスター役の國村と過去を引きずった男を体現した永瀬はご苦労であった。
誰かにとっての○月○日。
誰にだって1年の中で大切な1日がある。壁掛けのデジタル時計がまた同じ日を示している。照夫と葉が共に過ごした数年間を7月26日毎に遡ってゆくという構成。
誰もいないステージで踊り出した照明さん。それをこっそり見つめる女性タクシードライバー。ベンチで妻を待ち続ける男性。猫が見つけた誰かのバレッタ。バラバラだった物語が回想する度に繋がってゆく。時系列も工夫されてるから分かりやすい。ま、普通のラブストーリーなんですけど、結論ありきで逆走する面白さはあったし、ラストも良かった。それぞれの日常の中にある大切な1日。ぼんやり見つめる空はきっとあの時の7月26日と繋がっている。そう。全てはちょっと思い出しただけ。あ~絶妙過ぎる。
主演の2人はもちろんのこと、高岡早紀に成田凌、永瀬正敏ととにかく豪華なんですけど、今作はなんと言ってもニューヨーク屋敷が抜群にいい味出してた。
どうせなら屋敷や無くて畠中にせんかい‼️とゆう思い込みの話‼️❓
微妙
構成も役者たちの力量もバランス良く、余韻の残る映画
「ボクたちは」?
愛しくて切ない恋愛をちょっと思い出すとき
現在から遡るかたちで少しずつ語られていく一組の男女の出会いと別れ。終始ナチュラルで、過剰な演出はなく音楽の差し込みも少ない。だからこそ胸に響き、主人公たちと一緒に想いを馳せることができます。
クリープハイプが奏でるエモくて切なくてイタくて愛しい世界観も相まって、静かだけど感情を揺さぶられる。
また、ここ最近多かった「あの頃を懐かしむ」系要素が無い。あえてシンプルにして余白をもたせ、良い意味で分かりにくさを残した演出に好感が持てましたし、とても雰囲気のある作品なっています。
色々好きなところはありますが、特にタクシーの運転手さん(伊藤さんではない方)の気遣いのシーンが印象に残りました。
一貫して何気ない日々の暮らしと機微が丁寧に重ねられていきますが、これによってラストシーンがとてもグッとくる。エンドロールでは、すごく好きだったけど上手くいかなかった恋愛を、ふと思い出す瞬間のなんともいえない感情を思い出していました。
心に染み渡る良い映画。また好きな作品が増えました。
ほんとにちょっとですか?
この映画の主題は、ゲスの極み乙女。の「もう切ないとは言わせない」にある!
クリープハイプの曲からインスパイアされたとのことでしたが、僕はゲスの極み乙女。の「もう切ないとは言わせない」の歌詞がぴったりだとおもいました。
もっと あともうちょっと
君を好きになったら
もう切ないとは言わせない
溢れるたび言葉濁さない
きっと僕らきっと
わかってると思うから
もう切ないとは言わせない
そのうち一緒になろうよ
どうでしょう??見た方なら伝わるのではないでしょうか。あの倦怠期のタクシー長回しのシーン、あのとき素直になれていれば、あのとき足を痛めているとはいえ追いかけていれば…男の方はそれでもやや楽観的な感じ。ぴったりな楽曲だと思いました。
ノスタルジーや儚さをより明確にするために、モノローグを排して映像と演技にメッセージを詰め込もうとする潔さが良かった。もう本当に良かった。
出てくるキャラクターが出オチじゃないのが良い。どんでん返しっていうわけじゃないけど、こんな偶然や運命ってあるよねと思わされるストーリー展開。
ほぼネタバレだけど同構造の「ボクたちはみんな大人になれなかった」より上手だと思った。
また数年後見ると味わい深さが変わるんだろうなと思いました。力作です。
お爺さんからのお勧め
#13 曜日で時間の流れを把握
1日を描いた作品っていうからほんとに24時間を描くのかと思ったら、テルオの誕生日を遡って延々と描く作品。
やたら葉ちゃんが薄情な女に描かれてるけど、男目線では女性はああなのか?
2人の蜜月シーンのみみると『花束みたいな恋をした』に似てるけど、あっちは女性向けでこっちは男性向け恋愛映画な気がする。
池松壮亮クンと伊藤沙莉ちゃんのセリフの言い方が絶妙で、もうこの2人に結婚して欲しい❣️
ちょっと思い出しちゃいました。
人生の区切りを迎えた頃やちょっとした弾みで思い出すあの頃。「こんな事、、、あったなぁ」って。そんなふとした時、脳内に瞬間的に展開される記憶を見せてくれる本作。思い出話なのにセンチメンタルに、ノスタルジックに、ドラマティックに観せてくれます。良いですよー。ただ、単なる思い出話ストーリーじゃないってところがミソだと思いますーー。そこが良いですねぇ。
誰にでもありそうな恋愛の思い出話なんだけど、今思うあの頃、あの頃は思いもよらなかったであろう今。人間誰しも先はわからないけど、過去があって今があるってことは間違いないのです。人生を歩いていれば誰かと出会い、すれ違い、想いが重なり、思いがすれ違い、価値観の相違・・・そんなことの連続です。そんな人生の一部を工夫ある演出で豊かなドラマとして仕立てられたんじゃぁないか?って思いました。よくある話なのになぁ、不思議だなぁ。おもしろんだよなぁ。
ラストはなかなかの締め方をしてくれます。おー、そうくるか!って感じ。でもそれがこの作品のテーマそのものだったのではないかなぁ?って。三十路あたりで考えるよなぁ人生。シンプルだけど、普遍のテーマだったのではないでしょうか。
彼らには夕陽はどう見えていたのだろうか?同じ夕陽が。
輝いていた昼間の太陽を思い出してるのか?
今日とは違う輝きの朝日を待ち侘びるのか?
考えすぎでしょうが、意味アリアリ(と勝手に思ってます)のあのシーン、好きだなぁ。
芸達者の役者さんがたくさん出てくるのも楽しみの一つです。よくこんなに集められたなぁって。それぞれが良いアクセントになっているんですよね。演者さんの力もあって作品に厚みが生まれている気がしました。主演二名は言わずもがなです。個人的には退院後家まで送るタクシー内の演技がよかったなぁ。あの空気感、いいわぁ。
願わくば、葉ちゃんのバックボーンをもっと見せて欲しかったなぁ。彼女の動機に結びつくものを知りたかった。あとは、「会ったことありましたっけ?」に関係する一連のエピソード、要らなかったような(笑)まぁいろんな事情があるのでしょうが・・・・それよりも描いて欲しかったことがあったなぁって思います。それと、個人的には某お笑い芸人さん自身がいつも言っていたことをセリフにしちゃうの、嫌だったなぁ。映画の中はリアルな世界と分断して欲しかった。冷めちゃうから。
けどけど、良い作品でした。恋してた人、してる人。あの頃はよかったなぁ、、なんて思い出が1つでもある人・・・たくさんの方に見てほしいなぁ。
予告編見た時は、二人の絡み、特に伊藤さんいいなと思ったんだけど、本...
予告編見た時は、二人の絡み、特に伊藤さんいいなと思ったんだけど、本編では、この空気感にわざとこだわってる感じが作為的で、芸術としては退屈感。
確かに空気感はいいし、時間を遡る演出もいい。脚本は悪くないし、二人のセリフのやり取りや間も、すごく演技のうまい二人なのでいいんだけど、何がいけないって、おそらくセリフを二人に任せてる割に二人共大して愛し合えていないからじゃないか。
特にこの映画、池松くんがいつもよりすごくかっこよくて、伊藤さんをフォローできてない感がある。タクシー運転手としてナチュラルに生きてる伊藤さんのイキイキしてる感は素敵なのに、彼女は恋愛映画は向いてないんちゃうと思わせてしまう。伊藤さんの笑い方が良くない。
ラストの二人のダンスシーンは楽しかった。
池松くん、ダンスうまかった。
心のすみっこをぎゅっとされるような
この手の恋愛映画はハマる人とそうでない人と大きく評価が分かれるかもです。
壁掛けのカレンダー時計のピックアップ映像のきっかけに
過去や現在の元恋人であった2人の何気なくも思い出の日々を
美しく切り取り映像で描かれていく作品。
伊藤沙莉さんと池松壮亮さんの何気なくも独特の間合いがとても自然で素晴らしく、
他のキャストの皆さんも個性強めなのに、とても優しく馴染んでいるのが見事でした。
喧嘩やすれ違い、楽しかったデートみたいな事や、
いつしか日常となっていた2人のルーティーン。
タイトル通り、「ちょっと思い出しただけ」の繋がり。
共に生き、愛し合った事は甘酸っぱく不変でありながらも
現在に繋がったそれぞれ別の道があり、それぞれの今の自分がある。
あの人と交わらなければ今の自分はないかもしれない。
あの人と関わらなければ今の幸せはないかもしれない。
違う人生を歩んだとしても、巡り合った事を幸せだったと思える。
ちょっと忘れかけてた心の隅っこを
こちょこちょされて、ぎゅっとされるような映画。
「ぁあー、あの人元気かなー」なんて
なんだかちょっとニヤッと笑いながら
自分の人生に関わった大切だった人に思いを馳せて帰る。
そんな素敵な作品でした
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