ちょっと思い出しただけのレビュー・感想・評価
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全然ちょっとじゃない。
どっちも傑作
現在から過去への伏線
現在から過去へ少しずつ遡っていくストーリーは同じく伊藤沙莉主演の『ボクたちはみんな大人になれなかった』を思いださせる。恋愛の結末が分かっている切なさは、『花束みたいな恋をした』と似たようなものを感じる。
この映画は、一年ずつ同じ日を遡っているから、それ以外の日は想像するしかない。どちらかが実際に別れを切り出す場面とか、初めてデートに行く場面とか。見ている側がいろいろ考えられるのが良い。
最初に時間が遡っている事を説明するのが難しいけど、それをコロナによる生活様式の変化で表現していて新しい。オリンピックによりタクシーの形状が変わったのもしっかり表現されてる。
大きな出来事ではなく、ただ何気ない日常や会話が描かれる。
その会話の何気ないひと言がストーリーを作り出す。
終盤、今のシーンに戻った2人それぞれの表情からは恋愛の儚さではなく、何かポジティブなものを感じざるを得ない。きっと人生は、昔そんなこともあったけなー、
と思い出すことの連続なのかもしれない。
あらすじ必読
二度とは戻れないけど
そして、人生は進む
池松壮亮演じる主人公の誕生日の一日を6年にわたってふり返る。現在地は、コロナ禍の中、照明技師として修行中の日常。それから時間を遡ってストーリーが進む。怪我をしてダンサーを辞めたこと、そして彼女(伊藤沙莉)と別れたこと。彼女との楽しい日々のこと。出会った頃のこと。説明のシーンはないが、別れた理由も、惹かれ合った理由も二人の会話や表情から十分に理解できる。そして最後のシーンでまた現在地に戻る。お互い、偶然に相手のことを見かけるけれども感情が乱されることは、もうない。色々あって今の自分が確かにここにあるという納得感がある。彼女の方は何と結婚して子どもが生まれていた!池松壮亮役の主人公は家も生活スタイルも友人関係も変えることはなく前に進んでいる。二人とも「ちょっと思い出しただけ」。観ている私の方は動揺して切ない気持ちになった。
そうかそうか、うん。そうかそうか。
チョッと眠くなる
高い評価が付いてる作品と言うことで、好奇心で見てみたが感情移入は全くできなかった‼️。色々と映画に於けるテクニカルな部分は確かに見て取れるが、どうも演出も演技も過剰。会話で引っ張る演出を🎥恋は光で見せつけられたが、本当に対局。画面は暗くテンポは鈍い。それも含めて解釈してるムキもあるが、稚拙だ。舞台劇のシーンとかに至っては🎥グレイテスト・ショーマンを見たあとだけにお遊戯にしか見えなかった。誕生日を起点に物語が逆回転するのも、なにか小賢しさしか感じない❗二人の心のうつろいも笑いばっかりでなんだこれって見てる方は興ざめである。良い意味で自主映画っぽいと言う評価はあるが、この作品は悪い意味でその傾向がある。良かったのは國村準のみ。
邦画のスタイル
失うからこそ、得るもの
名作。こんな自然に仕上がるなんて。
あざとい味付けより、素材のよいものが集まれば、そうなるのでしょうか?秘訣はわかりませんが、僥倖です。
ただ黙って観て、じーんとして、沁みわたるのを感じるだけでいい。いちいち、解説や推測するのもヤボに感じてしまう。
それでもヤボを承知で言えば、この二人は「ちょっと思い出しただけ」ではない。逆です。きっと一生、忘れられない。ことあるごとに思い出すだろう。痛みとともに。でもうんと時間が経てば、優しさとともに。
さりげない、でも代わりのきかない大切なものと、出会って、育てて、失って。でも人生、次の章に進むためにまた大切なものを求めて、生きていく。
それは、俗に言う「勝ち組」にならないと得られない特権、ではない。人間なら誰もが、その種を持っている。種を蒔けるか。育てられるか。愛を。幸せを。「特別じゃない」感を、沙莉さんと池松さんが、絶妙に醸し出しています。
育ってきてもうすぐ収穫の時と思って喜んでいたら、うっかり枯らしてしまう。そんなつもりなかったのに。人生には、一晩の台風や地震みたいな試練が必ずやってきて、試される。
取り返しがつかない、とか思ってしまえば、結果に後悔し執着する。絶望感に、心折れる。
だから、(ちょっと思い出しただけ)と自分にも言い聞かせる。それは痛みをごまかすためだったり、自分で悲しみの重さをディスカウントしているのかもしれません。それとも、悟りか?
いずれにせよ、一歩前に進むために。
本当は、すごく大切なものを失った。
そんなこと、わかっている。
でも、どうしようもない。
相手も大事、でも自分も大切。
その折り合いのつけ方。
世界はすべて、それを繰り返す。
自然にうまくいく時もあれば、どうにも噛み合わなくなってしまう時もある。大きく失敗すれば、戦争にすらなる。
この二人は、大戦争になる前に、終息させられる二人でした。
何事にもタイミングというか、ちょうどいい刻(とき)があり、それが縁を作り、縁を終わらせる。
映画は人生の教科書。と、レジェンド・淀川長治氏が仰っていました。恋愛は、一つの国と一つの国とが同盟を探るみたいなものですね。相手に合わせれば、しばらくは上手くいくけれど、やがて互いの質・望みが白日のもとにさらされる時が来る。摩擦となるズレは点のようでもあり、世界観のような全体でもある。
自分と相手、違う国同士だったんだとお互いが知る。
理解しようと対話を続けるしかない。言葉と言葉以外で。
もうこれ以上は無理と思えば、糸をほどく。
無理に手に入れようと結んだまま引っ張っても、逆に糸は切れてしまう。
お互い幸せになるために、手放すしかない。
だから幸せな人生というジグソーパズルは、誰のも、どこかしらピースが欠けているもの、なのかもしれません。
ちょっと思い出す。失ったピースを。
失いたくて失った訳じゃないけれど、失ったからこそ、思いを馳せるようになる。失ったピースがあった場所に、代わりに思いが芽吹く。
こんな思いのことも、愛と呼ぶのでしょうね。
タイトルが、素晴らしくいい土台になっています。
脚本も、監督が書かれたのですね。役者の皆さんや音楽、それ以外も全ての要素が結晶化されて、天衣無縫の一本になりました。
ちょっと思い出したなあ…
ちょっと思い出してく
タイミング、そして引きずる
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