ちょっと思い出しただけのレビュー・感想・評価
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誰にでもありそうな話を鮮やかに甘酸っぱく
心地よいが、背中が痒くもあった。
若いころに大恋愛をした相手とはうまくいかず、些細な心のすれ違いで別れ
そして、今の暮らしの中で、ふと過ぎ去った日々を思い出すことがある。
付き合い始めたときのこと、一緒で幸せだったこと、別れたときのこと…甘酸っぱく、痛みも伴って切なくなる。
なんて、よくある話なのだが、裏を返すと普遍性があって、共感を得やすいってことでもあり、だからこそフィルムに落とし込むのは難しい。
日常の何気ない会話を軸に展開するので、眠くなりそうな一歩手前。
それを、最後まで「誰にでもあるある」と思わせる作りには唸りました。
時系列どおりではなく、どんどん過去に遡って思い出していくスタイルに、少々戸惑う人もいるのでは?と思いつつ、これが「痛い思い出」が「いい思い出」に変わっていくことの追体験のような気もしました。
自分には難しかった
なんで時計の日付が常にずっと同じなんだろう?と疑問に思いながら観てたので時間軸が全然分からず内容も良く分かりませんでした。で、ネタバレを見て、ああ、そうことだったね、と初めて気づきました。そういう分かりにくい映画は正直あまり自分の好みではありませんでした。
染み入るようなラブストーリー
二人の出会いから別れ、そしてちょっと思い出しただけの関係までのエピソードを連ねていく。これが全部良いのです。染み入るような、哀しいような、仲が良い表現があるほど遡って浸透してくる。
時間軸の操作が功を奏して、細かいことも見逃さないようにと自然に集中できる。そのディテールがよく考えられていて効果的。そしてそれはラストのタイトルまでつづいてまた素敵なのだ。
当て書きのような池松壮亮と伊藤沙莉のはまり役のキャラクター。成田凌と國村隼もそのとおりの演技。
尾崎世界観も松居大悟監督らしさもバッチリはまって、とても良い、染み入るようなラブストーリーになってます。
前回いろいろと見逃したり、時間の動きがよくわからなかったので......
前回いろいろと見逃したり、時間の動きがよくわからなかったので... 。3/3 に2度目の鑑賞。
ようやく時間の流れもよくわかり、2人の自然な演技、言葉のやりとりの面白さにめちゃ感動。伊藤沙莉がなんとも可愛い。それにしてもお似合いの2人なんだけどな、と改めて思ったり。そして脇を固めるベテラン勢の素晴らしさ。最高に楽しめました。
2人のやり取りが愛おしい
主人公の誕生日である7月26日の1日を1年ずつ巻き戻して観ていく映画。2人の結末をはじめに知っているから、年を巻き戻して思い出を観ていくのが切ない。
登場人物みんな魅力的で、等身大な2人のやりとりがとても愛おしかった。
「花束みたいな恋をした」に近しい雰囲気はあるけど、より等身大、身近な空気感。あんま他の作品を比べたりするの好きではないけど、あの2人のこともふと思い出しました。
ナイト・オン・ザ・プラネット、観ようと思う!
尾崎世界観、物語をつなぐポジション(?)になってたので、なんかもうクリープハイプの壮大なミュージックビデオかなって思ったりもした笑 私はクリープ好きなのでその点も楽しかった!
主人公の2人のこと、明後日にはぼんやりとした記憶になってしまうのかもしれないけど、
いつの日かふとした時に…たとえば曲を聴いたりなにかのフレーズを聞いたり2人の思い出の場所に行ったりしたときに、あの愛おしい2人のことを「ちょっと思い出してしまいそうな」、
そんな映画でした!
ずっと思い出していた。
キャスティングから持ち味のあるお二人。
キャラモノ的お芝居もできるお二人ですが、今回は私たちの等身大のラブストーリーという事もあって
お二人共、自らの化身を役に映したというなんとも自然で嘘の無い姿でした。
理想と現実が各々にあって、お互い好きだっていう事実は絶対に揺るがないはずなのに譲れないものの優先順位が違うだけで衝突する事がある。
夢を追っている男性と、現実主義なりの幸せが掴めると思っている女性の差異。
それは真にリアルな現代の恋愛物語。
とても刺さりました。
たとえ今、その人じゃない人が隣に居たとしても、
一番好きだったあの人の誕生日はずっと覚えてるし
その人の誕生日になるとその人との事を思い出してしまう。なんとも切ない感情が溢れかえってきて苦しかったです。
とても良い映画でした。
愛とか恋とか人生とか
最近わかったこと。
とっても好き💓と感じる映画に出逢うと「この感動をどう伝えよう」「どんな風にレビューしよう」なんて素人のくせに書き方悩んぢゃって、おかげでどんどん書けなくなるという悪循環〜〜〜というわけで、断ち切るためにまずはとりあえず書く!
最初は『7/26の定点観測逆戻し』を上手く掴めず、危うく置いてきぼりになるとこだった💦💦💦
たぶん恋をしたことのある人ならば誰だって多かれ少なかれ共感出来る『極フツーの恋人同士の日常』が散りばめられてる作品。恋って初めは盛り上がって盲目的に楽しみ、そんなときは自分よりも相手主導でモノを考えがち。でもそれが次第に落ち着いてきて、人生の主軸を自分に戻したときにこの先の人生も相手と一緒に居たいかお別れするのか冷静に考えられるようになる。上手くできてるゎ。
誰もが冷静に判断できればそれに越したことはないけど、人間である以上いっときの感情や言動なんかが邪魔することもある。そのせいで思ったようにことが進まないこともある。関係が望まない方向に舵を切ることもある。でもそーゆーの全部ひっくるめて運命。
なんかそれで妙に納得してしまった(╭☞•́⍛•̀)╭☞
普通。それなのに素敵過ぎる映画。
この監督の他の作品が観たくなった
ちょっと思い出した
素敵な、でも何気無いシーンの断片がいくつも重なる。が、実は全部繋がってる。エンドロールまで繋がってる。(解説を読むとエンディングテーマが始まりとわかる)観終わった時の後味も素晴らしく、余韻も噛み締めがいがある。
「ちょっと思い出しただけ」
タイトルのままの映画だが、ちょっと思い出すきっかけ、思い出す時、思い出す軸ってこういうもんだな。
実際に自分が思い出したのか?と勘違いしそうな感覚だった。ただ実際に思い出すとこんなに鮮明ではないだろう。思い出した事だから美化されているのかも知れない。良い思い出はそれくらいキラキラしていた印象がある。
この仕掛けを具現化出来たのは俳優陣の演じ分けだろうな。俳優の個性を活かした監督も素晴らしい。
仕掛けがわかった状態の今、もう一度観たい映画。
記憶はカイロス的な「時」のなかにある
大切な思い出や記憶は、定量的なクロノス的「時間」の中には存在しない。その記憶はときに刹那的であり、ときに逆行性(もしくは過去と未来を行き来する)をもつもの。
何気ないいつも通りの会話は失った後になってから、かけがえのないカイロス的な「時」だったと気づかされる。
だからといって一方的にそのことを後悔させられる訳では決してなく、その一瞬の「時」が永遠なものとして、いつまでもその人の記憶に残りつづける。
作品の時間を逆行させることで二人の記憶を(自分ごとの経験のように)観客が共有する。
そして鑑賞後にじっくりと記憶としてあたたかく蘇ってくる。
何度も観かえし、じっくりと味わいたい。
それにしても期待値を何段も超えてくる、伊藤沙莉はすごい役者。
そして、脇を固める俳優陣の豪華たること。
もうそこにいなくても、生きる希望を与えてくれる人がいる
「良い映画」とはどんな映画か。「もう一度見たくなる」映画だと私は思う。それは、もう一度見たときに「さらにもう一度見たくなる」ということだろう。私は、今作をまだ一回しか見ていないが、また見に行きたいと思う。男女二人の6年間のいろいろなシーンが鮮明に目に浮かんでくる。クリープハイプ「ナイトオンザプラネット」に着想を得た脚本だから当然なのだが、曲と映像とが調和していて、余韻でじんときている。あの世界に生きている人たちは、決して浮世離れしていない、ごく身近にいてもおかしくないような姿をしている。人生良いことばかりではなく、悲しいことや辛いことの方が多いくらいだろう。「それでも生きていこう」と思えるのは、それぞれにかけがえのない誰かの存在があるからだろう。たとえ、もういなくなっても、心の中で互いの背中を押しているのではないかと思うのは、楽観的すぎるだろうか。
会話劇のような回想ラブストーリー
二度と戻れない愛おしい日々を回想していくラブストーリーで会話劇に近いような印象を受けた。主演の池松壮亮と伊藤沙莉の個性が上手く引き出されていて魅力的な関係性が築かれている。また、脇役も豪華な顔ぶれで主演の二人に花を添えているように感じた。
2022-35
「タクシー」と「バレッタ」そして、時間軸を遡る巧みな演出に見事にやられた
“エモい”って言葉が最高に似合う作品だ。
思ってた以上にいい!同じ日に見たウェストサイドストーリーより全然いい!なんだろう、自分の琴線に触れてラストは涙が溢れた。
生きていれば誰にでもある“ちょっと思い出す”こと。とりわけ若い頃の恋愛、元恋人との思い出はちょっとしたことをきっかけに、例えば彼の誕生日とか、思い出の場所などを通ったり聞いたりするとその瞬間、瞬間で思い出す。
物語は2021年7月27日東京オリンピックが開催されているコロナ禍から2015年7月27日まで遡る。7月27日(水)で止まったままの時計や、電気のスイッチがタイムマシーンのようなものとなり、ごく自然に物語は過去へ過去へと遡っていく。これ、意識して見ていないと気づいたらあれあれ?ってな感じになるが、マスクの有無で分かるかと。
愛する人と過ごす「時間よ止まれ!」と願う幸せなひと時はあっという間に過ぎていく。だけど時は淡々と過ぎ去り、ときに残酷に、その現実を突きつける。そして私たち人間の感情もナマモノ。常に移り変わり変化し続ける。
対して止まったものとして描かれているのは、照生くんの部屋にある止まったカレンダーの時計とベンチで妻を待ち続けるジュン。
人も、街も変わりゆく。だからこそ、その時、その瞬間を大切に、伝えたい言葉は伝えようねっていうメッセージ性が感じられた。
それにしても脇役に主役級の大物たちが勢揃い!池松壮亮と成田凌というよく似た二人が出演するのもちょっと嬉しい。
※以下ネタバレになります
タクシー運転手をする葉が長髪の照生に誕生日プレゼントでバレッタを贈った。
「タクシー運転手」って今は女性のドライバーも沢山いるが、圧倒的に男性の仕事というイメージがまだまだある。また「バレッタ」は女性の髪の毛をまとめるアクセサリーとしての認識があるが、本作でその固定観念を取り払ったことに称賛を送りたい!
本作のラストには『そうきたか〜!』って。
みーんな何かしら折り合いをつけながら、生きている。
ラストシーンは共感しまくりだ。わたしが女性ってのもあるのかしら?適齢期に結婚して子供を産んでっていう、惰性と妥協と少しの計算。適齢期の、特に子供が欲しいと願う女性の場合はとりわけその傾向が少なからずあるんじゃないかな。本作の葉のように、私だってそうだった。
高校生だった和泉ちゃんは大学生となり、中井戸さんの意中の相手も一気に年上の男性に変わり、照生くんの仕事も変わって、葉のタクシーの車も変わる。
変化してゆく、人生ってそんなもの。誰かと出会って、別れての繰り返し。二度と同じ瞬間なんてないんだから。だから大切に大切に毎日を生きたい。
過去を肯定して背中を押すコロナ禍で生まれた傑作
誰しも時間は平等に過ぎ、時代も世の中も変わって進んでいく中で、ふと立ち止まって“あの頃”を思い出してしまう瞬間がある。そんな人生の機微を優しく包み込んでくれる愛おしい映画だった。一年のうちの“ある一日”の6年を切り取り、描き出す情景と描かない余白のバランスが絶妙。クリープハイプのアーティスト名の由来にもなっているジム・ジャームッシュの『ナイト・オン・ザ・プラネット』。アルバムの表題曲でもある、映画と同名の楽曲を、盟友である松居大悟監督が丁寧に映像で紡いでいく。コロナ禍で生まれた楽曲と映画が、コロナ禍以前の当たり前の日常の尊さを思い起こさせてくれた。今が悪いわけでも、過去に執着するわけでもない、ただ、“ちょっと思い出しただけ”なんだと。過去を肯定して背中を押す、松居大悟監督の、ある到達点に達した瞬間をみた。
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