「二度と取り戻すことのできないごくごく一般的な特別な日常」ちょっと思い出しただけ いけいさんの映画レビュー(感想・評価)
二度と取り戻すことのできないごくごく一般的な特別な日常
特に覚えのない本作がアマプラのウォッチリストに入っていたため我が愛娘に確認したところ、本作の主題歌「ナイトオンザプラネット」が好きなのでリストに入れたとのこと。うん、ジャケット写真が夜間の女性タクシードライバーだし、これはジム・ジャームッシュ監督作品へのオマージュ系かと勝手に期待して鑑賞。
観てみると予想と全く違う展開。あまりのギャップに前半は少々頭が混乱してしまったが、状況が掴めてくるうちに次第に引き込まれていく。
これは良い。そして絶妙のオンパレード。
ごくごく誰でも経験するような一般的な日常がゆるく流れているのだが、そこには決して二度と取り戻すことのできない特別な日常がある。うまくいえないがそこがとてつもなく絶妙で切ないのだ。そして二人のナチュラルな会話のやり取りが絶妙で、その心の機微がひしひしと伝わってくる。なんという演技力。
また工夫されたストーリー展開も絶妙だ。「ワン・デイ 23年のラブストーリー」のような構成に、逆だけに逆に印象深いものになっている!?
そしてタイトルも注目すべき。この心の奥底をノックするような深みを「ちょっと」で表現しきるのはまさに絶妙の極み。
本作を観るきっかけとなった娘お薦め主題歌はおじさんにはそれほど刺さらなかったのが正直なところだが、結果的には観て本当に良かったと思えるお気に入りの一本になった。娘に感謝。
ところで個人的には往年の名曲「駅」をちょっと思い出した…。
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