「記憶を愛おしむ」ちょっと思い出しただけ イズボペさんの映画レビュー(感想・評価)
記憶を愛おしむ
どこにでもある人と人との出逢いで生まれる記憶。なんでもないシーンだったり、他愛もない会話だったり。名前をつけない感情だったり。ふと思い出す。ちょっと思い出すことがある。頭の引き出しの奥にしまい込んだ記憶をね。
作中、ジム・ジャームッシュの
「Night On Earth」がながれるが本作のテンポはジャームッシュ監督のテンポに似てる。
近すぎず遠すぎず、人生を愛するおおらかな優しさで二人の男女の「ちょっとした思い出」を語る。時間の逆送で伏線をきれいに回収していく気持ちよさもある。
後悔でもなく、寂しさでもなく、未練でもなく、腹立たしさでもなく、現在進行形ではない「あの日々」を愛おしむ瞬間ってあると思う。それは言葉にならなくていいと思う。
余韻のある、秀作。
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