「来ちゃった今年最高の一本!! だけど…」ちょっと思い出しただけ たま21さんの映画レビュー(感想・評価)
来ちゃった今年最高の一本!! だけど…
見たかった映画が時間があわず、それならばと本作を鑑賞。したがって予備知識ほぼゼロ。予告さえ見ず、本作の重要な設定である時間遡りモノということさえ知らず、ただ若い二人の出会いから別れまで描いたんだろうな、程度の事前知識。
それくらい期待してなかったってこと。実際、昨年評判だった『花束みたい〜』さえ未見。
平日の昼間、小さな劇場だったけど、それでも若い女性でほぼ満席には驚いた。おっさんの私には肩身狭いほど。
結果、やられた…。
今年ベスト級の一本。
冒頭は戸惑いながらも、時間が遡ると理解したあとは、様々な変化を気にしながら予想以上に引き込まれた。
ジーナ・ローランズがめちゃくちゃ好きな私はに、ジャームッシュオマージュというのも良かったのかも。
とにかく主演の二人、なによりも伊藤沙莉さんが最高。
メディアでもてはやされてる、いわゆる美形な女優さんなら、全く違った印象だったのかも。
もちろん女優をされている伊藤沙莉さんが綺麗ではないというわけではない。
池端壮亮さんの隣に、小柄な彼女がすごくマッチしてる。それに少しハスキーな声が妙に心地よい。
予告でも流れてる二人並んで、楽しそうなガハガハ笑いのシーン、本当に最高。You Tubeで知ったけど、あれは半分本当に笑ってるらしい。
時間遡りモノ故に、二人の最も幸せだった時間が、クライマックスに置かれていたので、そこから時制が現在に戻った時のある設定が少し衝撃的だったくらい。
それでも二人は同じ朝日を見ていて、また今日も一日が始まる。
この落とし所もとにかく良かった。たまらなく愛おしい一本。
で、ここからはおっさんの戯言にもならない私見。
この映画、現状にそれなりに満足していたりまたは、今までの人生に後悔が少なければ少ないほど、客観的に心穏やかに評価できるんじゃないだろうか?
では、そうでない人間、今までの人生に後悔の多い人間(もちろん私のこと)にとってはどうかというと、結果めちゃくちゃズシンときた。
どうしたって自分と向き合うことをさせられる本作を見終わって、数日はすごく引きずってしまい、精神に変調きたすほどだった。
それでも、二人のようにまた新しい一日が始まるのだからと、前向きになろうと決意させてくれる。
繰り返しになるけど、本当に最高。
こんな映画に出会えて、本作に携わった全ての人に感謝!!