ちょっと思い出しただけのレビュー・感想・評価
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記憶を愛おしむ
どこにでもある人と人との出逢いで生まれる記憶。なんでもないシーンだったり、他愛もない会話だったり。名前をつけない感情だったり。ふと思い出す。ちょっと思い出すことがある。頭の引き出しの奥にしまい込んだ記憶をね。
作中、ジム・ジャームッシュの
「Night On Earth」がながれるが本作のテンポはジャームッシュ監督のテンポに似てる。
近すぎず遠すぎず、人生を愛するおおらかな優しさで二人の男女の「ちょっとした思い出」を語る。時間の逆送で伏線をきれいに回収していく気持ちよさもある。
後悔でもなく、寂しさでもなく、未練でもなく、腹立たしさでもなく、現在進行形ではない「あの日々」を愛おしむ瞬間ってあると思う。それは言葉にならなくていいと思う。
余韻のある、秀作。
醸し出されるこの空気感が好き。
団地の一室がむちゃいい。
池松のゆっくりした感じ&優しい眼差しがいい。
葉の好きなところは照生と同意!
出勤時に通る階段も、公園も、お地蔵さんもいい。
商店街も、そこで歌っている人もいい。
葉と照生の恋なやりとりに、
いつのまにかちょっと、
にやけてしまっただけ。。
ラストは「La•La•Land」と同じく、見たくなかった現在が。。
主役の恋人たちが別の人と家庭を築いている未来を見せられるのは
ほんと胸が締めつけられる。。
とても心地よい映画。
そしてほろ苦い映画。。
コロナ前の時代がすでに懐かしい
コロナ禍の東京から映画が始まる。マスクで人の表情が見えず、人とあまり接触しない毎日を求められる私たちは人の温かみを忘れ始めているかもしれない。この映画の主人公の男女2人は、かつて恋人同士だった。その幸せだった恋人時代を時を巻き戻すように、出会いの時までを逆回転で描いていく。コロナ時代にはもう遠い思い出のようなマスクのいらない時代が懐かしく思える。マスクのいらない、人との距離が近かった時代と、主人公2人が親密だった時代が重なることで、人との親密さの温かさを強く思い出せるように仕掛けているのが上手い。タイトル通り、そんな過去を「ちょっと思い出して」いるわけだが、甘い思い出も苦い思い出もあって僕らの人生が成り立っている。コロナのある時代の「今」をすごくしっかり切り取っている。
主演の伊藤沙莉と池松壮亮の2人の空気感がすごくいい。こういう2人いるよねっていう、説得力というか存在感というか。なぜかこの2人を知ってる気分になる。
「ワン・デイ」×「メメント」的な
松居大悟監督の2012年のデビュー作「アフロ田中」をはじめ、「男子高校生の日常」「スイートプールサイド」「アズミ・ハルコは行方不明」など好きな作品は漫画や小説の映画化が多い。もちろんそれらの原作の魅力に依拠するところも大きいのだろう。それでも、松居監督が自身のオリジナル舞台劇を映画化した昨年公開の「くれなずめ」には、着想のユニークさも確かにあり、お気に入りの一本だった。それにしても、この10年ほどで監督作13本、それ以外に商業監督デビュー前から続けている舞台劇の作・演出、テレビドラマ、PVなどなど、その多作ぶりには圧倒される。
さて、ジム・ジャームッシュ監督の「ナイト・オン・ザ・プラネット」に、着想を得た尾崎世界観が作ったクリープハイプの「ナイトオンザプラネット」に、触発された松居が脚本を書いて監督も務めたという、創作と他者への刺激の幸福な連鎖によって生まれた「ちょっと思い出しただけ」。物語の構造としては、アン・ハサウェイ&ジム・スタージェス共演作「ワン・デイ 23年のラブストーリー」と同じように男女の長い年月の経過を特定の日付の一日を切り取って提示することで見せていくが、これにクリストファー・ノーラン監督作「メメント」と同様シークエンスを時間に逆行する順に並べていく手法を掛け合わせている。「メメント」のブルーレイディスクにはシークエンスを時間に順行する流れに再構成して鑑賞できる特典機能があったが、この「ちょっと思い出しただけ」もパッケージ化の際に採用するといいのでは。きっと作品をより深く楽しむのに役立つと思う。
淡々とした雰囲気は悪くないが、本当は心の奥深くにある重く激しい感情に迫ることなく、表層的な感傷をさらりとなぞったような印象も受ける。それも仕方ないか、“ちょっと思い出しただけ”なのだから。
池松壮亮、伊藤沙莉らと誠実に撮った松居大悟の心意気
製作のきっかけはジム・ジャームッシュにまつわるあれこれだったかもしれないが、これは紛れもなく令和の、そしてコロナ禍の日本で生きる人々に誠実に向き合った製作陣だからこそ、すくい取る事が出来た作品といえるのではないだろうか。
誠実にも向き合ったし、妥協もしなかったのだろう。
当初はタクシードライバーが男性、ダンサーから裏方へ回るのが女性という設定だったが、伊藤沙莉の出演が決まると「男女逆の方が……」と柔軟性を発揮し、設定を入れ替えたそう。
池松壮亮と伊藤沙莉が良いのはもちろんだが、作品に余白を与えてくれる國村隼、永瀬正敏の存在感はさすが。そして、新鋭・河合優実は長尺ではないものの充分に非凡なものを見せてくれた。
そして、それらをまとめあげた松居大悟の力量には感服。
二度と取り戻すことのできないごくごく一般的な特別な日常
特に覚えのない本作がアマプラのウォッチリストに入っていたため我が愛娘に確認したところ、本作の主題歌「ナイトオンザプラネット」が好きなのでリストに入れたとのこと。うん、ジャケット写真が夜間の女性タクシードライバーだし、これはジム・ジャームッシュ監督作品へのオマージュ系かと勝手に期待して鑑賞。
観てみると予想と全く違う展開。あまりのギャップに前半は少々頭が混乱してしまったが、状況が掴めてくるうちに次第に引き込まれていく。
これは良い。そして絶妙のオンパレード。
ごくごく誰でも経験するような一般的な日常がゆるく流れているのだが、そこには決して二度と取り戻すことのできない特別な日常がある。うまくいえないがそこがとてつもなく絶妙で切ないのだ。そして二人のナチュラルな会話のやり取りが絶妙で、その心の機微がひしひしと伝わってくる。なんという演技力。
また工夫されたストーリー展開も絶妙だ。「ワン・デイ 23年のラブストーリー」のような構成に、逆だけに逆に印象深いものになっている!?
そしてタイトルも注目すべき。この心の奥底をノックするような深みを「ちょっと」で表現しきるのはまさに絶妙の極み。
本作を観るきっかけとなった娘お薦め主題歌はおじさんにはそれほど刺さらなかったのが正直なところだが、結果的には観て本当に良かったと思えるお気に入りの一本になった。娘に感謝。
ところで個人的には往年の名曲「駅」をちょっと思い出した…。
確かに男性目線ではある
序盤、ちょっと入り込みづらかったが、最終的には引き込まれた。
普通に撮れば、よくありそうな小さな恋の話で、見やすく共感しやすい一方で、泣けるほどの感動もカタルシスも強烈なメッセージもないストーリー。
それを、各年の誕生日を遡っていくという演出や、その度に登場する脇役による伏線のようなサブストーリーが彩りを与えて、時間の経過と時代の変化を効果的に使うことで、よくある普通のドラマを大きく超えた味わいに仕上げた作品。
タイムラインをいじる映画というと、まずパルプフィクションがまず思い浮かぶのだが、まさにあの映画同様にストーリーそのものにはそれほど特筆するような味はない。演出上仕方ないのだが、恋愛ドラマ色の濃いシーンは私には痒かった。
ただ、それを適切な距離感から描くという手法は成功しているように感じられて、まさに昔付き合ってた子を思い出す時のような、何とも名付けようのない感情を味わえた。
また、個人的には伊藤沙莉の魅力が最もよく出た映画なんじゃないかと思っていて、彼女のキャラクターや演技がこの作品の魅力を倍増させていた。
他の方のレビューで、これが男性的だという批判があった。言われてみれば、どこか感傷的な色合いになっている点や、女性が次に付き合った奴とあっさり結婚したように見える感じ、自分はあまり前に進めていない気がしている感じは、確かに男性っぽい目線なのかもしれないとは思った。
もう戻れない30歳を表していた!!
ヒロインの声が個性的で、好みがあると思います。タクシー業務中のシーン、恋人達のシーンと何か印象に残りますが、特に男性にとっては、もう戻れない30歳を表していたたと思います。
あるあるあるある。
ウィノナちゃん
時系列を逆にすることで斬新な映画に見えました
この映画は最初と最後のシーンが繋がっていて最後のシーンで葉が別れて2年経ってしまった照生を見て二人で過ごした日々を瞬間的に回想するのですがそこに集約させているのが素晴らしかったです。出会って付き合って絶頂があって食い違いが出て別れてしまうがすべて忘れてしまったわけではないので、ちょっと思い出した だけ、と言ってるのはちょっと思い出したを肯定も否定もしていない、だけなんだよ。そう制作者が言いたかったのではと思いました。大人の解釈が必要で面白かったです。 猫とかカレンダーとか永瀬さんとか脇役の配置がうまくて何度か見るとすべて繋がっていて監督のこの映画に対する思い入れが感じ取れました。東京オリンピック、コロナについても盛り込まれていて時代としての記録にもなるのかなと。 葉がハスキーな声ではしゃぐのと照生の中性的なしゃべりが印象に残りました。
展開逆回しパターン
2人のテンポが好き
映画は終わっても人生は続く
個人的な経験からあまりストーリーには感情移入出来なかったのですが、伊藤沙莉さんの演技力の高さが光る作品でした。
ちょっとした表情がとにかく上手い。
相手のことを想っていると言いつつ自分の感情をぶつける女性と、自分のことでいっぱいいっぱいな男性。
そこから時間を遡ることで、円満だったみずみずしい2人が蘇り、並行して妻を待つ男にも、還るはずのない生前の妻が姿を表します。
なんでことのない時間軸の逆転に過ぎないけど、別れる前の2人と円満な2人との落差がまた良いです。
物語はいつか終わるけど、全てがハッピーエンドではない。
人生は続いてゆく。
でもその物語は、人生の中できらりと光る良い思い出になったんだなと。
誰にでも、似たようなエピソードはあるはずです。それが沁みます。
理想的な男女関係を描いた素晴らしい映画だと思いました。池松壮亮さん...
共感できなかった
作品のアイディアはすごくいいと思いました。
伊藤沙莉さんが好きなのですが恋愛映画に出ているイメージがあまりなかったので
とてもかわいらしく役もあっていたと思います。
ですが池松壮亮さんの演技が時折オネエのように感じることがありました。
内容としては少し粗があるなと。
路上で出会って一夜を共にした男性と道中の説明もなく
最後には結婚していて子供を産んでいたり
ここまで二人のストーリーを追っていたのにぽっと出の男と一緒になったのが
いまいち共感できませんでした。
あえて対照的に見せるためにそういう演出をしたのかもしれませんが
なんだろうなんか適当で
別れた理由も曖昧で若い恋愛を思い出して浸っているだけに見えました。
全体的に薄っぺらかったです。
最近失恋したばかりの方などには刺さると思いますが
感動や泣けるという感じではありませんでした。
理想的な男女関係
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