「安定のリーアム・ニーソン」アイス・ロード といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
安定のリーアム・ニーソン
「これぞリーアム・ニーソン」って感じの役回りで逆に安心しました。
予告編を観て面白そうだったので鑑賞。「大型トラックで氷の上を走る」という程度の事前知識ですね。「リーアム・ニーソン主演だからまた復讐劇とかだろうか」って期待はちょっぴりありました。
結論ですが、細かいところに不満点や違和感はありましたが十分に楽しめるエンタメ映画に仕上がっていました。本作は「ストーリーがどうこう」とか「キャラクターの心情がどうこう」みたいな重箱の隅つつくような目で観る作品じゃないですね。馬鹿デカイトラックで行われるド迫力カーチェイスを観てテンション上げたい人に向いていると思います。『マッドマックス怒りのデスロード』にも通じる素晴らしいド迫力カーアクション映画でした。
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カナダの鉱山で起こった爆発事故によって、26名の作業員が地下に閉じ込められてしまった。地下の酸素が無くなるまでの30時間以内に30トンもの巨大な坑口装置を届けなければ、作業員たちの命は無い。装置の運搬を行うために、3人の凄腕ドライバーと1人の整備士が招集された。タイムリミットまでに装置を届けるため、彼らはいつ割れてもおかしくない氷の張った湖の上(アイス・ロード)を30トンのトラックで走ることになった。トラックドライバーのマイク(リーアム・ニーソン)は、戦争のトラウマから失語症になった凄腕整備士の弟・ガーディ(マーカス・トーマス)と共に、この過酷なミッションに挑戦する。
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馬鹿デカイトラックが氷の上を爆走する。止まればタイヤに掛かる車重で氷が割れ、スピートが速過ぎても振動によって氷が割れる。設定がまず面白い。
アイディア一発の映画ではありますが、そのアイディアをしっかり膨らませて2時間の上映の間、間延びすることなくしっかり面白い。これはすごいです。とにかく初っ端からトラブル続出で、後から後からアクシデント起こりまくり。「何でやねん」ってくらい唐突にアクシデント起こるけど、それがなかなか面白い。こういうのは真面目に観ちゃ駄目だ。
リーアム・ニーソンって、私が以前鑑賞した『スノー・ロワイヤル』でもデカイ除雪車乗ってましたね。はたらくくるまが実にお似合い。
乗っている車がデカイトラックなので、とにかくカーアクションシーンがド迫力。以前鑑賞したスティーブン・スピルバーグ監督の初期の作品『激突!』でも巨大なトラックとのカーアクションのシーンがありましたが、50年の時を経て、VFX技術や撮影技術の発達によってさらに磨き上げられた「ド迫力ドでかいトラックのカーアクション」が観られます。
この迫力はやっぱり劇場で鑑賞した方がいいと思います。それも、前の方の席で。
目の前いっぱいに広がる巨大なトラックがドリフトのようなアクロバットをするのは迫力満点です。
ただ、やはり大味な作品なので細かいところで違和感があるのは否めませんし、主人公のマイクが結構余計なことをしてたり仲間を信用できなかったりしたせいで余計なトラブルが増えているように感じてしまい、マイクに対してストレスが溜まるなどの不満点もありました。
そして、マイクたちを襲撃してきた保険屋は氷の湖に沈めて殺したのに、裏で糸を引いていた黒幕は一発殴って終わりっていうのも「不平等では?」って感じてしまいます。Youtubeなどで映画評論を行なっている東大卒のお笑い芸人大島育宙さんが「罪と罰の質量保存」という概念を提唱していました。「悪いことをした人にはその悪事(罪)に応じた重さの報い(罰)がある」という勧善懲悪もののセオリーみたいなことなんですけど、本作は罰の重さが罪の重さと全然比例してないんですよね。そこがなんとなく不満でした。
まぁ、上記のような不満点こそありましたが、観てよかったと思える大迫力の楽しい映画でした。オススメです!!!
【2021年11月25日追記】
「VFXで迫力のカーアクション」みたいなこと書きましたが、どうやらほとんどのカーアクションシーンがCGなどを使わずにリーアム・ニーソン本人のスタントによる実写だったそうです。驚きですね。