劇場公開日 2021年11月12日

  • 予告編を見る

「監督の手腕は大したもの」アイス・ロード 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0監督の手腕は大したもの

2021年11月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 文句なしに面白かった。ボディダブルのスタントマンもいたとは思うが、御歳69歳のリーアム・ニーソンが体を張ってリアルなアクションに挑んでいるシーンに胸が弾む。
 ストーリーは意外に入り組んでいて、単に危険を冒して荷物を運ぶだけの映画ではないことはすぐに解る。シーンは極限までカットされていて、テンポよく物語が進んでいく。そんな中で主人公マイクをはじめとする登場人物が上手に紹介されている。脚本も担当したジョナサン・ヘンズリー監督の手腕は大したものだと思う。
 特にマイクの弟ガーディの人物造形は見事で、愛されるために生きているような無辜の人間だ。ガーディが愛されないのは世の中のほうがおかしいからだ。マイクの怒りは根深い。
 それともうひとり、先住民の血を受け継ぐタントゥという女性ドライバー。勇敢で負けず嫌いで正直者である。この人が迫害され差別されるとしたら、やはり世の中のほうがおかしい。タントゥがいつも怒っているのはそのせいだ。メイフラワー号以来の400年にわたる怒りと言ってもいい。
 ところで、タントゥ(Tantoo)という名前でどうしても思い出してしまったのが、ターントゥ(Turn-To)という種牡馬である。日本の三冠馬ディープインパクトの父サンデーサイレンスはターントゥ系のサラブレッドだ。競馬に詳しい人ならすぐに解るが、そうでない人には何を言っているのかわからない話である。どうもすみません。

 牽引の免許取得はかなり難しいが、ユンボなどの重機を操るオペレーターは、現場に重機を運ぶのに必要だから取得している。一度話を聞いたことがあるが、日当は6~7万円だそうだ。結構な高額である。ユンボの免許も含めて特殊な技術であり、危険も伴うから、金額としては妥当だと思った。
 本作品に登場する牽引車は、アメリカならではのデカさである。貨物車(トレーラー)も巨大だから、生身の人間の力ではどうにもならない。動かすには強力なエンジンの力が必要だ。そこに本作品の面白さがあると思う。

耶馬英彦
かせさんさんのコメント
2024年4月15日

30トントラックは紛れもないモンスターですね。
あんなのが走れる国ってそれだけですごい。

かせさん