劇場公開日 2022年11月11日

「70代男性版の『リトル・フォレスト』」土を喰らう十二ヵ月 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.570代男性版の『リトル・フォレスト』

2022年12月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ずっと気にしていた作品ですが、11月の大作の公開ラッシュに4週遅れでようやくの鑑賞です。
まずは何はさておき、予告編から目が釘付けになる土井先生監修の精進料理。子供には理解できないけど、大人になってみれば大枚叩いてでも食べてみたい料理のあれこれ。作品内でも真知子(松たか子)が完全に胃袋を掴まれていますが、さもありなんと言わざるを得ない説得力でお腹の鳴りが止まりません。そして、こんな調子が1年分続いては「リアル垂涎」しそうだと感じている中盤、物語は動き出します。
そもそも観る前に抱いていた本作への印象は『リトル・フォレスト 夏・秋(14)&冬・春(15)』ですが、概ね間違ってないと感じました。これらはまさに「死生観」のお話です。二つの作品の違いは単に主人公が「20代女性」か「70代男性」であり、若い時に思い悩む「生きる意味」と年齢を重ねて逃れようのない「死ぬということ」という、一見真逆の話のようでありつつ結局は生と死は表裏一体なことを「自然」と相対しながら気づいていく物語で、どの世代にもこういう生活に憧れる理由がまさに「生きている」「例外なく死ぬ」意味を直感的に感じられることが想像できるからなのだと思います。
一般論として、「死」には当然のようにネガティブな印象がありますが、劇中で亡くなり送られるある人物の「葬式」という儀式で、集う人たちが笑い合って故人にいて語らう様子を見ると、やはり重要なのは「生き方・生き様」なのだなと思いつつ、やはりツトム(沢田研二)が仕切る「通夜振る舞い」にまた涎が止まりません。あぁ、美味しいそう。。w

TWDera