「演技とは思えないほど憎々しいロザムンド・パイク」パーフェクト・ケア 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
演技とは思えないほど憎々しいロザムンド・パイク
近年はお年を召したけれど、若い頃はお人形さんのように美しかったパイクさん。
金持ちに善人はいない。フェアプレーで金持ちにはなれない。
上の言葉がマーラ(ロザムンド・パイク)の人生哲学。
身寄りのない認知症の老人を食い物にして蓄財している法廷後見人のマーラー。
憎々しく美しい悪女を演じさせたら、右に出る者のいないロザムンド・パイク。
携帯酸素ポンベを吸い、真っ白い煙幕を吐く姿は、ドラゴンのようだ。
マーラの職業=法廷後見人とは?
(認知症で判断能力が不十分になったお年寄りの財産を管理出来る人)
(持ち家を売る権限さえ持つ)
マーラの次のターゲットはジェニファー(71歳)だった。
マーラが突然ジェニファー宅を、アポ無しで訪れる。
裁判所の書類を見せる。
老眼鏡を探すジェニファー。
早口でまくし立てるマーラに、聞き取るため首を傾けるジェニファー。
「認知能力が欠けています」
「一人暮らしは無理」一方的に告げる。
家の外にはパトカー。
警官が2人コチラを窺っている。
怯えるジェニファー。
(無防備な年寄りジェニファー役のダイアン・ウィーストが絶品)
(認知症で視野のボヤけた表情が実にリアル)
しかしジェニファーは、訳ありの年寄りだった。
マーラが引いたクジはとんでもない災いを呼ぶ。
ジェニファーに身寄りがない→その情報は真っ赤な嘘だった。
ジェニファーにはロシアンマフィアの息子がいた。
息子のローマン役は132cmの個性派ピーター・ディンクレイジ。
後半はマーラとローマンの殺るか?殺られるか?の一騎打ち。
命知らずのマーラは互角で戦う。
この辺りロザムンド・パイクを一躍有名にした「ゴーンガール」のエイミーを彷彿させる。
マーラとエイミー。
どっちが悪女かは好みだが、
マーラもエイミーも、法律を味方にする悪どさと、死をも畏れぬサイコな女だ。
更にマーラは、同性の恋人ブラン(エイザ・ゴンザレス)と、金と権力に目がない!!
男も子供も要らない純粋培養の悪女。
総人口の20%がやがて認知症になるという。
介護ビジネスは金のなる木。
アメリカでは、後見人制度が巨万の富を生むと言う。
ケアハウスと言う終の住処は、ひと聞きの良い牢獄かも。
老人は獲物。
どこの国でも高齢者がターゲットになっていますね。
教訓とも言える映画でしようかね!
後味の悪さと一抹の爽快感(?)も多少はあるかな!