劇場公開日 2021年12月3日

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「抜けた歯は牛乳に漬けるといい」パーフェクト・ケア フリントさんの映画レビュー(感想・評価)

抜けた歯は牛乳に漬けるといい

2022年2月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

高齢者を介護施設に送り込む話

めちゃくちゃ面白かったー!
アメリカって恐ろしい国ですね、もしかして日本でもこんな事出来ちゃうのかな?

なんにせよ興味深い話だった、ハラハラ、ドキドキ、結末が読めない展開で最後まで楽しめました。

後見人になり法の力を使って無理やり金を稼ぐ女と母親を取り戻そうとする裏社会の男の対決。
あれ?どっちが主人公?ってな構造も凄い。
普通、物語は主人公と観客が少なからず共感や同調するものだけれど、この映画は違う。
最初から主人公が嫌な奴だと提示してて、早くこいつがギャフンと言う所がみたくてしょうがなくなる。

日頃見てる映画が勧善懲悪ばかりなのでこの映画は本当に新鮮でした。
主人公がこんなにも嫌な奴ってのも珍しいのでは?
そんでもって物語の解決方法がなんとも皮肉めいてて最高です。

にいしてもアメリカンドリームって綺麗ごとでは叶えられないんですね。
ずる賢くて、冷酷で、他人の事を顧みない人間しか上には上がれない。
世界の富の半分以上を数パーセントの人が握ってい居てそれが日々増え続けているそうですが、持ったざる者が持たざる者から奪い合うしかない世の中って本当に恐ろしい。
狙う矛先が高齢者ってのも悲しい話です。
実際、若者よりも老人のほうがお金を持ってるわけで、奪う以外の選択肢がないってのも考え物です、世の中もっといい仕組みで回らないものでしょうか?
「金こそ正義」「金こそ力」「金こそ全て」
命や涙を金に換える錬金術は今に始まったことではないけれど、こんなにもまざまざと見せられると胸に来るものがありますね。
アンドリュー・ガーフィールド主演の「ドリームホーム」を見ても思ったけども、良心を犠牲にし他人を蹴落としててまで大金を稼ぎたくはないと思うのは、自分かまだどん底まで落ちてないだけなのかな。
今日を生きることすら難しい状況ならば自分もなんでもするだろうなと思った。そうならないためにも気をつけねば…

この作品は刺激的で痛快で恐ろしい物語です。毒蛇vs毒蛇の結果が気になる方は是非見てみてください。

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劇中セリフより

「信頼は金の後に付いてくる」

損得勘定なしの信頼関係って子どもの頃しかないのかもしれない、いや、子どもの頃ですらないのかも知れない。
お金と信頼は切っても切れない関係なのね…

フリント