劇場公開日 2022年1月21日

  • 予告編を見る

「観客の予想を巧妙にすり抜けていくストーリー」ライダーズ・オブ・ジャスティス 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0観客の予想を巧妙にすり抜けていくストーリー

2022年1月29日
PCから投稿

わかりやすい語り口ながら、そこで起こる展開は観客の予想の裏をかくものばかり。その度に「えっ」と声を出して驚いた。主人公は愛する妻を事故で失い、派兵先から帰還を遂げる一人の兵士。フィジカル的、メンタル的に一筋縄ではいかないこの役柄をマッツ・ミケルセンが演じ、何かが爆発しそうな危うさを常に携えて本作は突き進んでいく。さらにここに確率論を研究する数学者や、テクノロジーに秀でた珍妙な仲間たちが合流することで、事態はよくある真相解明や復讐劇へ振り切れそうになりつつ、決してそのような方向へは陥らない。面白いのは一人一人のキャラクターがどれも内面、外面的にとても繊細に描かれていること。だからこそ彼らがぶつかり合うくだりでは各々の想いが痛いほど滲み出し、お互いに心の穴を埋め合おうとする姿や光景にも思わず胸熱くなる。アクション、サスペンス、家族ドラマを巧みに内包した、とても変則的なクリスマス・ストーリーだ。

コメントする
牛津厚信