配信開始日 2021年12月31日

「寄木細工のような映画」ロスト・ドーター talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 寄木細工のような映画

2025年8月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

斬新

自分の娘と他人の娘、母と自分の関係、自分と娘達との関係、母であること、母役割から逃げること、学問に邁進しハイテンションと鬱の波に揺られながら男性に最も求められる時期、20代。これらが時間軸の行き来の中で複層構造で語られる。オリビア・コールマンだからこそ演じられる役だと思った。

イタリア文学と比較文学の専門家のレダが一人でギリシャのビーチでバカンスを過ごす、本を沢山持って。夢のような休暇のはずだが、なかなかそうはいかない。騒々しく嫌がらせをする若者たちや大家族グループ。小さな女の子とお人形を見て、自分の若いとき、若い母で妻で学生だった頃の思いと情景が繰り返し波のように映される。過度なアップや暗すぎる照明がレダの心象風景を、カメラがひいて遠景や近景になると休暇を過ごしている今のレダの視点になる。その交互と台詞がとてもよかった。

原作を読もう!と思った。作者はイタリア人作家でイタリア語で書いている、以外は秘密のベールに隠されているエレナ・フェッランテ。この名前もペンネームで一人か二人か、女性か男性かもわからない。誰が作家なのか相変わらず探されているようだが、そんなことより作品そのものを味わい楽しめばいいと思う。世界中で最も翻訳され読まれ評価されている作家の一人ということだけは事実だ。

若い時のレダを演じたジェシー・バックリー素晴らしかった!そしてイタリア語が聞けて、思いがけずアルバ・ロルヴァケルが出演していたのも嬉しいサプライズだった。

talisman
近大さんのコメント
2025年8月6日

ありがとうございます(^^)

近大