「セシル・ドゥ・フランス🤩」幻滅 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
セシル・ドゥ・フランス🤩
オノレ・デ・バルザックが19世紀前半のフランスで社会に翻弄される人々を描いた小説、人間喜劇の一編「幻滅―メディア戦記」の三部の前半二部の映画化。
私の興味は地方都市アングレームの男爵夫人ルイーズ(セシル・ドゥ・フランス)と詩人デビューしたい若い青年の恋のゆくえ。
地元で芸術サークルを主宰するルイーズは狩猟と犬にしか興味のない歳の離れた夫への反発で、詩を書く印刷工の青年リュシアンにいれあげる。彼はルイーズにあてた詩を自分で印刷し贈る。パリ旅行にルイーズはリュシアンを同行させるが、パリの社交界は田舎の青年を笑い者にし、従姉にあたる侯爵夫人に恥をかかされたかたちになったルイーズはアングレームに戻ってしまう。ルイーズに愛想をつかされたと思ったリュシアンは酒場で知り合った新聞記者の男(ヴァンサン・ラコスト)に詩集出版や印刷所紹介の相談をするうちに、記者の誘いに乗って、芝居のゴシップ記事担当記者として名をあげ、大通りの劇場の若い女優と付き合い、放蕩三昧の日々。そうすることでルイーズへの復讐を果たそうとする自己欺瞞がますます虚飾の栄華を極めさせ、破滅の道をたどることになるのだった。
セシル・ド・フランスの醒めた冷静さを装った演技にほんとはどうなのよ~って思いました。
ヴァンサン・ラコストはとても魅力的なキャラでした。助演賞なんですね。納得。
当時のパリの演劇界は大勢のサクラを使い、褒めたり、ヤジを飛ばして、進行を妨げたり、まるで総会屋のような黒幕がいたり、新聞の記事次第で興行収入や俳優の将来が左右され、メディアがより多く金を払ったほうに有利な記事を書く風見鶏気質にはフランスならではのアイロニカルなコメディ要素が満載で面白かった。