洞窟
解説
2021年・第78回ベネチア国際映画祭コンペティション部門コンペティション部門で審査員特別賞を受賞。第34回東京国際映画祭「ワールド・フォーカス」部門上映作品。
2021年製作/93分/イタリア・フランス・ドイツ合作
原題または英題:Il buco
2021年・第78回ベネチア国際映画祭コンペティション部門コンペティション部門で審査員特別賞を受賞。第34回東京国際映画祭「ワールド・フォーカス」部門上映作品。
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2024年11月5日本作が描いているのは1961年、イタリアで当時世界3番目に深い洞窟を発見した調査隊の話と、その洞窟の入口で放牧していた老人の死である。
一見何の関わりもない2つの事実が、何故並行して描かれているのだろうか。初めは、まったく関係が見えないのでイライラさせられるのだが、やがて老人は何らかの象徴であることが分かってくる。
調査隊が洞窟の奥深くに踏み込めば踏み込むほど、横たわった老人の腹部が上下して、あたかも老人の体内を彷徨っているいるかのようだ。調査隊が探照灯で洞窟の深部を照らすと、それに照応するかのように老人の目には医師のライトが当てられている。
そして決定的なのは、調査隊がついに洞窟の最深部を探り当て、これより下はない、ここが行き止まりだと手を振る時、老人も息絶えていくシーンだろうか。
これを踏まえると、老人が象徴するのは科学により失われていく未踏の自然や、原始信仰やら土俗宗教やらに連なる神秘的なものだろう。だから洞窟地図が完成し、科学的知見が達成された時、急速に山霧がたちこめ、どこからともなく老人の泣くような吠えるような、悲しみに満ちた牛を追う声が響いてくるのである。
科学の発達により未開が追放されるのは当然だが、追放される未開の神秘的な部分、聖なる部分への愛惜を描いたのが本作ということだろうか。セリフも説明らしきものもなく、ただ淡々と調査隊と老人の死を描く手法は新しいものだろう。
感情移入しにくい作品だが、小生はその新しい試みと労力に星4つ献呈したい。