「ペネロペ・クルスの頼もしい新境地。」コンペティション 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
ペネロペ・クルスの頼もしい新境地。
情けなく右往左往して、器の小ささをさらけ出してくれる男たちもいいが、ペネロペ・クルス演じる映画監督ローラがみごとな当たり役。思えばペネロペ・クルスは『ハモンハモン』のデビューから何度も新しい挑戦を繰り返し、ちゃんと人気も評価も付いてきた幸福なキャリアだったと思うのだが、今回の役には今までとはは別次元の自由さがあって、それをただエキセントリックになるのでなく、ムチャクチャだけと地に足がついていて、繊細でもあるという絶妙な塩梅で演じている。ストーリーを引っ張る役どころでもあり、引っ掻き回す役どころもであり、劇中の良心でもあり、同時に悪意の原泉でもあるという、よくもまあこんなややこしい役をみごとにものにしたものである。それこそデビュー時からリアルタイムで見続けてきたが、50歳を目前にしてに来て役者としての新しい可能性が開いていることに、同世代として勝手に大きな希望を感じた。
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