劇場公開日 2022年12月2日

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「母も子も幸せになれる社会よ来てくれ」あのこと N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0母も子も幸せになれる社会よ来てくれ

2023年3月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

主人公は1940年生まれだ。
昔が舞台とはいえ、人生と引き換えに出産したくない、という主人公の言葉が
昨今、とりだたされている少子化や、女性の権利、自立、
もしかすると結婚という制度の問題点に対して、
答えをだしてしまっているのではないか、と感じつつ観た。

それも自業自得だとして、男性との間にあるリスクの差は、
生物的にではなく社会的に、
ずるい、や無責任、を越えてもはや雲泥がホラーの域。
戦慄するほど、納得できず、社会制度でのフォローを!
と言わずにおれなかった。

また、産めば人生が終わる、はすなわち、
産むのは「いつか」の「いつか」が、
「最後に仕方なく」という意味にもとれ、
子供目線で考えた時、複雑な思いにもかられる。
母と子の権利は同時に守られないのか。
やはり社会制度でのフォローを! である。

「プロミシングヤング・ウーマン」とテーマは同じであると感じるが、
「プロミシング」で男性はかなり下劣に描かれている一方、
こちらでは抑えられたごく普通の人物像として表現されている。
ゆえに女性がヒステリックと浮き上がり、
追い詰められた感のすさまじさがリアルでなおホラーであった。

長らく色々映画を見てきたが、初めて途中、直視できなかった場面もある一方、
主人公と同年代の男女、昨今の問題うんぬん論じる人が見たならば、
一体どういった感想を持つのかも興味が尽きない。

N.river