「手袋が当たり前の世界に・・・」パワー・オブ・ザ・ドッグ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
手袋が当たり前の世界に・・・
最近、マスクのみならず使い捨て手袋をしている人が増えてたりしませんか。やっぱり感染対策として必需品。怪我してても平気だ!というマッチョな人ほど感染しやすいもの。などと考えながら、犬があまり登場しなかったり、牛や馬やウサギがメインの動物となっていた映画だったことに気づきました。
異色の西部劇だという触れ込みもありましたが、西部劇は異色の作品ほど面白いものです。最も驚かされたのは、時代が1925年とは言え、主要な男たちはみんな大学に行ってたこと。酒瓶もいっぱい出てきて、そこでバーボンと書かれたラベルを見て真っ先に思い出したのがバカボンのパパ!バカボンのパパだってバカ田大学を卒業しているのだ(都の西北ワセダの隣)。これでいいのだ!
ブロンコ・ヘンリーという名前。ついついブロンコビリーと記憶してしまいがちですが、それは多分ビリー・ザ・キッドとか混同してるからでしょう。マッチョな男でゲイ。そんな伝説のカウボーイに手ほどきを受け尊敬しているフィル(カンパーバッチ)は男性優位社会に育ち、女性嫌いが徹底している。ブロンコ愛用の鞍を今でも丁寧に扱っているシーンもありますが、あの鞍の先っちょもどこかゲイを思わせる形。そんなフィルは弟ジョージが嫁として連れてきたローズを徹底的に貶しているのです。ローズが練習しているラデツキー行進曲をもバンジョーでメロディを被せるシーンはとにかく凄い。俺の方が上手いぜ!へっへっへ~的な。しかも1階と2階という位置からしても上下関係を暗示している演出の巧さ。
女なんて要らん的なフィルはやがてローズの連れ子ピーターに秘密を垣間見られた辺りから、女々しいギョロ目と蔑んだにもかかわらず、彼を立派な跡継ぎにするかのようにカウボーイの仕事を教え込むようになる。意外な展開。アル中になった母ローズをこき下ろされ、出会った時に丁寧に作った造花を燃やされた恨みも再燃し・・・というか、どこからか復讐を企むようになっていたピーター。投げ縄用のロープをプレゼントしてくれるというフィルに仕組んだ罠がとにかく強烈だった。紙巻きタバコのシーンからは想像できない・・・
まぁ、ラストに愕然とさせられるものの、全体的には抑揚も小さく、感情を揺さぶられることもなかった。山の影になった犬の形は面白いし、主要人物の章ごとの心理変化も絶妙。終盤にはピーター目線ともなるし、4者それぞれの感情移入さえも否定してくるような圧倒される映像には恐れ入った。ただ、やっぱり後味がよくないし、この時代向きではなかったかな・・・アカデミー作品賞を獲ってしまったらビックリするかのような。
kossyさん
コメントへの返信を有難うございます。
映画館で観るべき作品…スケール感、緊迫感が体感出来るモノ程、大きなスクリーンで、というのは有りますよね 🤔
この作品は小説的な余韻が残る作品でした。
kossyさん
やっと観ました (^^)
年齢を重ねたキルスティン・ダンストの上品な色気を堪能しました。
何故俺が…彼が総ての罪を負うべき存在だったのか…モヤモヤが続いています。