「ヒューマンドラマと、娯楽ミステリーの」ある男 wutangさんの映画レビュー(感想・評価)
ヒューマンドラマと、娯楽ミステリーの
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人を深く掘り下げたテーマを持ったヒューマンドラマと、娯楽ミステリーを融合させたような作品だと捉えると、それに成功した作品だと感じた。
特に中盤まで、キャラクターが一定以上掘られることなくミステリー要素が際立っていた。X(原誠)と城戸いずれも「ルーツを打ち消したい」というジレンマ以外に掘り下げられた描写が見えなかったので「分人主義」を用いた評もちょっとしっくり来ないところがあり、ただ娯楽ミステリーとして楽しむモードでいた。
結局その部分はそれほどすっきり解消されたわけではないのだが、ラストあたりで急激にヒューマンドラマとしてまとまってきた。
本物の谷口大祐の行動がほぼ説明されていない事や、最も出演の長い城戸を軸に見るとテンポが悪かったり、ラストで不倫発覚するのが取ってつけたようなタイミングになるなど、気になるところは他にも多かったが、「原作がある作品の映画化としてはしょうがない部分があったんだろうな」と、冒頭に挙げたようにミステリーとヒューマンドラマの融合を狙ったものと捉えると良いテンポで引き込ませる力を持った作品だったと思える。
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