「_φ(・_・不安になったよ。」ある男 おにっち弐号さんの映画レビュー(感想・評価)
_φ(・_・不安になったよ。
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考えさせられる映画だった。
対比する映画は『ドライブマイカー』だと思う。
あの映画は過去の辛い思いをどうやって折り合いをつけるかってのが描かれていたと思います。誰かとそのことを話す事でその辛い思いは忘れはできないにしろ昇華していくのが描かれていました。
この映画も辛い過去や出自などの逃れられない事に対してどう折り合いをつけるかっていうのがテーマなのかなぁと思います。折り合いをつけるには現在の自分の状態が正常に存在するか?アイデンティティが確立されているかどうかなのでしょうね。里江が折り合いをつける事ができたのは長男の誰だかわからない父が死んで『さびいしいね』の一言と娘の存在が大きかったのでしょう。誰だかわからない父を憎むのではなく、寂しいという現実が折り合いをつけたのだと思います。息子にとって誰だかわからない父ではなく優しい父だったのですね。泣けました。
問題は弁護士の城戸。在日という逃れられない出自、家族は彼とは真逆の人間。妻は浮気、義理の父は差別主義者。彼は折り合いをつける事ができない。孤立した人間だから。
ラストは孤立した人間はどうしたらいいの?という視聴者への問いなんでしょうね。
どちらかと言うと私も孤立しそうな人間で帰り道車を運転しながら不安になりました。
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