「ある男に涙する映画体験」ある男 るいまーるさんの映画レビュー(感想・評価)
ある男に涙する映画体験
10月27日の完成披露試写会にてひと足早く鑑賞することができました。
自分だけではどうにもできない生まれもった境遇や立場、親子関係‥。とてつもない見えない何かと闘う苦しさ、向き合う難しさに胸を引き締められました。
それはお金持ちだから、家業が安定しているから、‥。第三者からの視点と当事者の見方のギャップの大きさ。
当事者の人生を辿る中でそのギャップの暗闇に初めて明かりが灯るのだと。
だからこそその当事者は幸せを手に入れた時に"どのようなこと"を"誰"にするのか。全てが解かれた時にその尊さに涙しました。
でも、これまで紡がれた嘘、真実を全て紐解くべきなのか。
里枝の抱える複雑な心情、想いに何度も考えさせられました。Xと過ごした日々、自我が芽生えている悠人と幼き花へのケア。何が正解なのか。正直一回では噛み切れないほどの見応えがあります。
小見浦と接する中での城戸の弁護士としてのあり方や人生観の変化。
全ての人にそれぞれの人生があって、理想や夢、想いをもって歩んでいく。そんな当たり前なことが当たり前じゃなく奇跡の連続だと。
それは"どんな形"であろうと紡がれていく。
久しぶりにこんなにも熱いヒューマンドラマに出逢いました。
ミステリー要素で少し怖い描写や音楽があります。でも、それに勝る熱い感動と涙があります。
目の前で巻き起こる現実にどんな感情を抱くのか。どの登場人物も濃くて、ある想いがあります。
寄り添う大切さ、気づくことの重要さ。
早くも友人と感想を分かち合っています。それぞれ感じたその価値観の違いが更にこの映画に良いスバイスを効かせてくれると思います。
来月の公開である男に
また出逢えることがとても楽しみです。