「強く、優しく、寄り添う」有り、触れた、未来 男の総決算さんの映画レビュー(感想・評価)
強く、優しく、寄り添う
監督の知人が
「自ら、命の別れを選ぶ」
という選択したことをきっかけに作られた映画
これを知ってから観ると、この映画がだいぶ違って見えてくる(鑑賞後でいいから、YouTubeで監督のインタビューを是非みてほしい)
私もここ最近、悲しいことに知人との別れが続いたから、余計に響いたのかもしれない
監督の自問自答、覚悟、台詞、景色に込められた意味
1回目観た時は途中から、おかしな感覚になった
今思えば、物語に入ってしまったような感覚
観客ではなくなり
あの登場人物たちと、あの、街にいた
(ちなみに私は遠い昔、1年宮城に住んでいて、その前に山形にも住んでいたので、宮城にもよく足を運んでいた)
映画という枠で、
フィクション映画ではあるのだが、
オール宮城ロケということもあり、
ドキュメント・記録映画的でもあり、
そして舞台、詩であったり、いくつもの表現技法が組み合わさる
その中でも、舞台での台詞は一番メッセージが伝わった
とにかく言葉を、問いかけ、投げつけ、心の奥底に響いてきた
ラストはまさに魂の叫びだ
ベテランはしっかり重厚な演技で魅せ、
若手・新人は思いのたけをぶつけるように、画面に焼き付けていく
若手が育つ環境をつくる、という監督の想いが強くみえる
多くの登場人物が何気ないところで繋がっているのは
縦の糸と横の糸で編んでいき、
タペストリーのようにしたかった、と監督は解説していた
まさにポスターのビジュアルだ
私は合計3度観たのだが、飽きることはなかった
絵画を、俯瞰で全体を楽しむように、またはじっくり細かいところを観るように、何度も何度でも楽しめた
この映画はきっとロングランされる、されるべき映画だ
長い時間をかけ、1年ではなく、5年10年とかけて全国を周り、そして世界にも行って欲しい
一過性では終わらない、そんな「強くも優しい」映画に私は魅せられたのだ