「【未来】」人と仕事 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【未来】
表現は少しうろ覚えだけど、ホストクラブの経営者の発言が驚くほど印象的だった。
“コロナ禍でこの業界(夜の街)の問題が炙り出されたみたいに言う人はいるが、もともと、この業界は、社会問題の縮図のようなところだ。
でも、そこに人の繋がりを求めてくる人もいることは理解して欲しい。
ただ、コロナ禍で、人を揺動(ようどう)するような人間が評価され、まじめに考えて論理的に話す人が隅っこに追いやられる状況が、変化したことは良いことだと思う”
確かにその通りだと思った。
コロナ禍で、エッセンシャルワークの大切さが再認識され、どのようにそれを維持するのか熟考が迫られると同時に、多くの無駄も炙り出され、如何に社会や企業が非効率であるのかも分かった。
ただ、社会の歪(ひずみ)の一端として、人々の犯人探し好きや、吊し上げる傾向は変わらず、飲食業への風当たりが強くなった。
しかし、新規感染者は簡単には減らなかった。
派遣切りやリストラが民間で多くなったものの、公務員への給与は不変で、政治家には夜の街通いをするものや、中央官庁の公務員の宴会も明らかになってクラスターも出た。
逆に、人も給与も増やした方が良い保健所は労働時間が長くなって、仕事のプレッシャーは増えるばかりだった。
逼迫した医療現場は更に過酷だった。
僕の周りの友人や、元同僚、先輩、後輩、部下から、業者、顧客まで、様々な働き方の変化はあったが、自分の職場は、割とリモートに適した業種だということが明らかになった気がする。
無駄に、都心で賃貸料を過剰に払う必要がないように感じた。
実は、この作品、自分の周りを見直してみて、これまでの自分も含めて過去を振り返ったり、自分を取り巻く社会や環境を熟考したり、今後の僕たちの世界の未来をふと思料するような映画じゃないのかと思う。
やっぱり、冒頭で紹介した、ホストクラブの経営者の言葉は的を得ている。
あれに尽きると思うのだ。