劇場公開日 2021年11月5日

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「今週(11/5)迷ったら本作品かな。とても良い出来。」リスペクト yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0今週(11/5)迷ったら本作品かな。とても良い出来。

2021年11月6日
iPhoneアプリから投稿

今年166本目(合計230本目)。

 ※ 「蒼穹のファフナー」も観ましたが(時間埋めのため)、この映画のレビューに需要はないと思うので飛ばします。とはいえ、なんばパークスシネマさん、9番シアターのトラブルで8分遅れは…。他の映画(結局、私はこの映画のレビューが該当する)に影響するのでちゃんとして欲しいです…。

 さて、こちらの映画。実話をベースにしたドキュメンタリー映画になるのでしょうか。伝記映画ともいえますね。
他の方も書かれていますが、「音楽シーン」と「会話シーン」がほぼ交互に登場するような作りになっているので、「音楽映画」という見方も可能だとは思います(このご時世なので、映画館でも純粋な音楽コンサートもやっていますが、ものすごく高い…)。
よって、あることないこと書けない状況です。この点は考慮に入れています。

 タイトルは「リスペクト」、つまり「尊重」です。「自分のことも尊重して」(=無視しないで)という意味のほか、この映画の背景にある、当時(1940~)の黒人差別問題が背景にあります(よって、公民権運動などの描写も登場します)。今でも(2020年~2021年)解決していない問題であり、「合理的な理由のない差別」は許されないものであり、先進国であるアメリカも「手本」を見せて欲しいところです。

 ※ 行政書士試験に限らず、憲法の学習では「合理的な理由のある区別」と「合理的な理由のない差別」は区別して学習します。「合理的な理由のある区別」は(程度問題にもよりますが)合法ですが、「合理的な理由のない差別」は、まぎれもなく人権侵害に外なりません。

 本映画は伝記映画という見方も可能で、そのため、あることないこと書けない状況になっています。一部、不穏当な表現もありますが、それもごく最低限で、不愉快になるような表現はありません。また、本映画でも描かれているように、「貧乏白人」「裕福白人」という考え方は、やはり1940年~60年代にも存在していたことがうかがわれます(「アンテベラム」のレビューでも記述している通り)。

 内容として、最低限の音楽に関する知識があれば有利かな…と思えますが(「3度下げる」などは、さすがにエレクトーン・ピアノなどを知っていないと、わからない)、とはいえ、「あれば有利かな」程度になっています。また、伝記映画という事情から、キリスト教文化も登場しますが(三位一体論や、聖霊に関することなど)、それも「知識があれば有利かな…」とは思えますが、なくてもついていけないことはないです。それよりも、当時、公民権運動が行われていたことなどのことが重要でしょう(ただ、これは中学歴史までで習うはず。それ以上のことは問われない)。

 最後まで見ましたが、最後まで待たずに席を立つ人がとても多かったのは残念…。この映画は「最後の描写」までちゃんと見てこその映画だと思います。

繰り返しになりますが、「合理的理由のない、いわれのない差別」と「合理的理由のある区別」は別に考えるべきものであり、前者は絶対的に許されるものではありません。もちろん、日本やアメリカも、それを乗り越えて、今、乗り越えつつあるところですが、その2つを区別すること、そして、前者は絶対に許さないという姿勢、それこそが真に大切なことなのだろう…と思います。
本映画を通じて、少しでも、「いわれのなき差別を受ける人たち」がなくなれば…と思って気持ちがやみません。

採点にあたっては、下記が気になったものの、大きな傷ではないため、満点評価にしました。

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(減点0.2) 中盤あたりで「レコードは1回以上聴いたことがあるんだ」という字幕が出ます。その部分の音声は more then once です。しかし、more than は「その値を含まず、その値よりも大きい」ことを意味する表現です(「以上」ではない)。回数は整数の値を取りますから、この表現だと「2回以上」ということを意味します。

 しかし、映画の趣旨を考えれば、「聴いたか聴いていないか」ではなく「1回きりではなく、2回3回と聴いたか」という点が論点になっていることは明らかで、この誤訳は映画の趣旨を考えると、単純な誤訳を超えてしまっています。

 とはいえ、 more than の誤訳は飛びぬけて多いのが実情で(ほか、1月の「ミッションマンガル」でも登場している)、日本でいえば「ら抜き表現」に相当するほどであり、「理解を妨げられない限りにおいて問題なし」とするのがネイティブの立場で(「理解を妨げられない限り」に注意)、他のミスと違い、このミスはある程度類型化されて登場するものであり、ある程度知識があれば補えること、積極的な誤訳作出とはいいがたい点なども考慮しました。
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yukispica