「歩兵同士の血みどろの戦い。多くの若者が命を落とす戦争の悲惨さ。」1941 モスクワ攻防戦80年目の真実 M.Joeさんの映画レビュー(感想・評価)
歩兵同士の血みどろの戦い。多くの若者が命を落とす戦争の悲惨さ。
1941年、ヒトラーがソ連を奇襲攻撃。ソ連軍は首都モスクワを目指すドイツ軍に総力戦で抵抗し、激戦の果てモスクワの防衛に成功した。その歴史的な『モスクワ攻防戦』に参加した若き士官候補生たちの、知られざる史実にスポットライトを当ててゆく。2021年は『モスクワ攻防戦』から80年。その記念となる年に登場した。この作戦で3500名が派遣され、約2,500人が命を落とした。(公式ホームページより抜粋)
142分(2時間22分)
142分という長編の後半のほとんどが戦闘のシーン。死と隣り合わせの前線基地。そこに経験もあまりない若者たちが次から次へと投入されていく。
戦闘機は時々出て空から容赦ない砲撃、戦車も出てくるが、ほとんどは歩兵同士の血みどろの戦い。すぐ目の前のドイツ兵との打ち合い、まさに肉弾戦である。
モスクワ攻防戦ということで、ドキュメンタリーのようなドイツ軍の動きやソ連の軍部や指導者の主張、国同士の交渉の進展、政治的駆け引きなどの解説を期待したが、それはあまりないように思えた。
あるのは、当時の現場をできるだけ忠実に造成し、当時の戦車を使うというリアリティ性である。ピストルの玉が飛んでいるところ、砲弾が爆発するところもリアルである。
第二次世界大戦での重要な戦いで、勇敢に戦い死んでいった若者たちを称えるとともに、ソ連の愛国心の高揚、不屈の精神を鼓舞するための映画ではないかと思った。
特に将来ある若者が送り込まれ命を落とすという戦争の悲惨さ、無意味さを、ヒーローのない、かっこいいシーンもない真摯な映画として描いた、後世にも語り継がれるべき映画である。
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