信虎のレビュー・感想・評価
全53件中、41~53件目を表示
【”真に武田家の行く末を案じていたのは誰であったか・・”武田家存亡を歴史的に”暴君”と言われてきた信玄の父、信虎視点で描き出した戦国時代歴史映画。有り得ない話ではないなと思った作品でもある。】
ー この作品は、信虎(寺田農)が武田家存続を望むがゆえに、妖力”妙見の秘儀”を使ったり、歴史の通説を幾つか改編している。
一番は、”暴君”として名高い信虎が
ーそれ故に、息子信玄(永島敏行)から追放されたのだが・・。ー
実は、武田家の存亡を深く願っていたという視点で、物語が進められるところである。
そして、この作品では、進行が早く、粗い。
登場人物が、大変に多く(特に、NOBU〇〇とか、〇〇NOBUとか、沢山出演している・・。スイマセン。)
又、予算の都合上だと思うが、大きな合戦は出て来ず、小さな規模での切り合いのみ描かれる。(重ねてスイマセン。)
突っ込みどころは、多数あるのだが、作品構成と信虎の人間性の解釈は面白い。
何しろ、500年以上前の時代の出来事である。
十分、有り得るのではないかと、思った作品である。ー
<武田家の礎を築いた武田信虎。
歴史的には、残虐で冷酷非道な暴君のイメージが強いが今作は、その過去を認めつつ、老いた信虎が武田家の行く末を案じ、様々な武田家が生き残る術を探る姿が描かれている。
後に、武田家が再興を許された事を考えると、あながちあり得ない話ではないな・・、と思った作品。>
<追記>
・隆大介さんを偲んで・・。
・歴史大作を作り続ける、原田眞監督の偉大さを思い出した作品。
戦国クラスタにおすすめ
平山先生の『武田三代』を拝読し、すっかり武田ファンになってしまった私。
先生監修の映画、やっぱり一味違います……!
信玄没後の武田家の運命をじっくりと描いた、ここまでやるか!となるスケールの大きさ。
刀剣や茶道シーンも出てきますので、その方面のクラスタの方も観てみるといいですよ~
これまでのリアルとは違うリアル
冒頭から「何が言いたいんだ?」と思った。
前半はそんな感じで物語に置いていかれないようにするのに必死だった。
ただ淡々と時が流れていく中に身を任せていく内にふと気づいた。
「自分は今あの中にいる。」「リアルな戦国時代を目撃している。」
重厚な音楽。誇張されていないリアルな音。流れるように自然なカメラワーク。
評定のシーンで普通のトーンで交わされる会話は、きっとその当時、実際にこんな感じだったんだろうなと思わせてくれた熟練の俳優陣。
今までの時代劇とは全く違うコンセプトで作られているのがありありとわかった。
物語の登場人物と時を共有した2時間15分。短かった。
もう一度見ようと思った。
今度観る時は、さらに彼らとの時間を堪能できる気がした。
勝者の歴史の陰に見えてきた武将像
信玄公生誕500年ということで、甲府の地で観てまいりました。
武田家三代フリークの小生としては、あまり語られることのなかった信虎の後半生、武田家の行く末を描いてくれて感謝感激の限りです。
主役の寺田農氏の眼力も、まさに「原作通り」。
いやぁ、製作陣には感服、感服。
なかなかスポットの当たらない信玄の父の物語は興味深い
最初こそ登場人物の名前と、用語の漢字を教えたいのかやたら右に文字が出てきて気になるのと、「そこカメラ動かす意味ある?」という謎のカメラワークは気になりましたが(そんなぐるんと回って映すシーンか?とかなんで今手元映したのとか、おい歩いている人の腰映してどうすんだとか)信玄の父の晩年を描いた所は興味深く観られました。追放されたところまではなんとなく知っていましたが、その後も健在だったのですね。
映画館で見た方が良いかも
最初は粛々と歴史上の事実を綴った感じでしたが、三谷幸喜作品のようにスロースタータで尻上がりに面白くなる作品。
登場人物が多かったので、字幕があって助かった。とはいえ、メインの役者さえ理解していれば、多少脇役がわからなくてもストーリーに入り込めるし、イメージしていた歴史上の人物とさほど違和感ないキャスティングだったので、すんなり世界に入れた。
大河ドラマのような音楽はすばらしく、雄大な雰囲気を醸し出していた。
信虎晩年を描いた作品のため、合戦シーンが少なかったが、印地打ち(投擲衆)が登場するなどリアルさを感じた。ほかにも細部の小道具や流血のシーンなどにリアルさを求めていることが感じられたので、見逃した随所にも注目し、再度見てみたい。
次作は信虎の前半生を描いてほしい。
彼が笑っている
甲府駅北口に像がある武田信虎公。
南口にいる信玄公と比べると知らないことだらけだったので、映画での人物像に興味がありました。
戦国時代に疎い私にも見やすい作品でした。
パンフレットの寺田さんのインタビューでは「わかりやすくなり過ぎてしまった」との言葉がありましたが、これはむしろ助かりました。
歴史物であることに加えて、ほぼ想像に任せるとか、解説が最小限とかだったりしたら、映画慣れしていない私は最後までついていけなかっただろうと思います。「字幕」もとっても助かりました。用語を知らないとセリフも聞き取れなくなりますから、初心者が躓く要素を減らしてくれた字幕には感謝です。
四季が現れた景色が素敵です。妙覚寺というお寺はとてもきれいな所ですね。
全体的にリアルにこだわった印象があり、流血シーンはそれなりに怖かったですが、所々に笑える所や驚くような要素が入っていて楽しい映画でもありました。
岡島百貨店で見た黒いポスター、どうして北斗七星が描いてあるんだろうと気になっていました。ただのデザインにしては・・・妙な感じでしたから・・・。
おサルの「勿来(なこそ)」ちゃんは期待通りとっても可愛かったです(クリアファイルになっていたのも嬉しいです)。この子が動くたびに他のお客さん達も楽しそうに笑うのが聞こえてきました。でもおサルさん以上にざわついたのは、お菓子が出てきたシーンです。一番ザワッとしたのでびっくりしました。
周りのお客さん達の年齢層が比較的高めだったので、私が「あれっ」と思ったような小ネタには反応が鈍かったです。それもちょっと面白かったです。
それから、観る前は全く予想していなかった「倒せないラスボス感」というものを味わいました。
ラスボスと言うとまるで悪い人みたいですが、見た瞬間に浮かんだ表現がそれです。
エンターテインメント性と時代考証の「せめぎ合い」
80歳の老将が、隠居先の京から甲斐の国主に返り咲こうと家臣郎党を引き連れ一世一代の旅に出る。映画『信虎』のメインストーリーは、戦国時代の余り知られていないこの史実を基にしている。製作陣は『甲陽軍鑑』を読み解き、武田信玄に追放された非道な父・信虎という一般的なイメージから、甲斐の国主としての誇りを忘れず、老境にあっても果敢に復権をめざす新たな信虎像の確立を目指そうとしている。
2022年は武田信玄生誕500年の節目の年である。なぜ今、信虎と勝頼なのか。その答えは、物語のクライマックスといえる、両者の一世一代の対峙に端的に表れているといっても過言ではない。北条氏、そしてかつて信玄と敵対した上杉氏と手を組み、国主として織田信長包囲網を画策する信虎。それに対し、信玄から陣代としてのバトンを受け取り、戦へとはやる若武者勝頼。三年の喪を守ろうとする家臣たちを巻き込み、強烈な不協和音を響かせるこの軍議のシーンが、強大なリーダーシップを失い、時代の潮流に呑まれ崩壊していく武田家、ひいては信玄の偉大さを逆説的に表現しているのだ。「市民ケーン」や「ゴッドファーザー」を彷彿とさせる構図である。
物語を通底する「武田信玄のレガシー」というテーマは、従来の大河ドラマや時代劇映画では描かれにくいこの映画のユニークな視点にも表れている。たとえばこの映画は元禄時代、武田家の幕府高家としての再興を果たした側用人柳沢吉保が、息子に語り伝える物語という体で始まる。徳川家康は武田家の遺臣を庇護し、天下泰平の江戸時代をつくった。ほかでもない柳沢吉保こそが武川衆の出なのである。徳川家がいかに甲斐の地、そして人脈、血脈を重視していたかを、この映画は教えてくれる。
このような徹底的に考証や新視点を取り込んだ「硬派」な時代映画としての側面もありながら、時代劇のエンターテインメント性を損なわないアイデア性も見どころの一つだ。黒沢映画をはじめとした往年の名画をリスペクトしたキャスティング、流血伴う戦闘シーンや時代の変遷が見える城内の調度品など、戦国のリアリティを追求した演出は圧巻といえるだろう。そして物語は妙見信仰や諏方大明神の伝説など「伝奇性」を取り込む一方で、お直御寮人と信虎、父娘のすれ違いを描いたロード・ムービーといった繊細な性格も持ち合わせており、信虎の物語を魅力的に見せる製作陣の苦心と奮闘の跡が垣間見える。
それぞれの「御家存続」がぶつかり合う重厚な戦国ロマンに、荒削りな演出が息をつく間もなく連続するスピード感は好みが分かれるところであろうが、却ってこの映画の持つ特異性を引き立てることだろう。
歴史の再認識を促す映画
これまでの武田信虎の評価や戦国大名武田家の認識を見直すきっかけを与えてくれる映画である。信玄が唯一無二の存在として、山梨県では度々もてはやされ、神格化されてきた。しかし、武田家を信玄のみならず、信虎、信玄、勝頼の営みの中での変革を理解することの重要性を訴えているように思う。
歴史好きな方なら大いにハマれるだろうが、新しい演出好きな若者には少し硬派で意見が別れるだろう。だが、あえて硬派なイメージで作ろうとするあたり、偉人への尊敬の念と歴史映画制作へのこだわりを感じる。脚本や演出、俳優の演技や音響、小道具、大道具など大河ドラマと遜色なく、それ以上とさえいえる仕上がりだろう。
ただし、パンフレットの寺田さんのコメントにもあるように、丁寧さは確かに大切だがやりすぎるとしつこさを感じることもある。また、情報量の多さから、かえって混乱してしまう人もいるかもしれない。この点は改善の余地として、ミヤオビピクチャーズの次作に期待したい。
当時の世界観出しつつフィクション性高かった
今までスポットが当たらなかった武田信玄公の父信虎の話との事で期待して見に行きました。
話は柳沢吉保の回想録のような形でスタート。回想録は信玄公が倒れたところから始まる。信玄公にあとを頼まれたと思い込んだ信虎は、家督を継ぐべく娘と十数名の家臣を連れて甲斐国に目指すが、信濃国で孫の勝頼や信玄・勝頼の家臣団にはばまれる。その間織田の勢力が増し、勝頼の当主としての器量の限界を感じた信虎は家督より武田家存続を目指し、天寿を全うする。
というのが大まかな話。
血がリアルに吹き出たり、公家の娘の顔作りが当時を再現してるのは最近の戦国ドラマではあまりみないかな。
戦闘シーンは関所突破シーン、忍者との戦闘、天目山とそこそこあります。信虎の方針転換した辺りからフィクション性が高くなります。
観客の年齢層は高く、そんなに若い方ではない私が一番若かったかなって思ったくらいです。
歴史知らない人でも途中字幕や地図や説明が入るので置いてきぼりにはならないと思いますが、登場人物が多いので、ある程度知識がないとどれがどの人か分からなくなるかも。
最後にまさかのあるネタをぶっ込んで来て思わず笑ってしまいました。この年齢層にこのネタ分かるのかな。
信虎の最晩年を描いた作品
信虎の半生ではなく、最晩年を描いた作品。
字幕が多用されていて、丁寧に説明しようとする意図は感じた。
信虎と勝頼の対峙の場面は、特に見せ場になっており
各人物の葛藤が画面から伝わってきた。
私もそこそこ歴史には詳しいのだが、
歴史ファンなら分かる細かい部分にもこだわりがあったのが
時々発見できるのはうれしい。
音楽も大河ドラマのような雄大さで、
場面場面で効果的に使われているのは評価したい。
字幕などはゆっくりと確認出来なかった部分もあるので、
後でDVDなどでゆっくりと鑑賞したいと思った。
そういう意味では、二度楽しめる作品なのではないか。
ネタバレになるので詳しくは書けないが、
信虎のある能力…に注目。
全53件中、41~53件目を表示