信虎のレビュー・感想・評価
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資料としても
映画より先に、恵林寺にある信玄公宝物館を見学しました。
そこには映画『信虎』で実際に使われた小道具が展示してありました。
それらの小道具の説明パネルには「江戸時代」などとあり、江戸時代の物を映画の小道具として利用したそうです。古そうに見せた作り物のみではなく、なるべく当時に近い道具を用いて、再現につとめたらしいことに驚かされました。
その後、映画を見に行ったのですが、確かに展示されていた小道具が登場しています。たまに道具だけが大きく写るシーンもありますから、気が付きやすかったです。
どのように登場するのだろうと気になっていた払子は、柳澤吉保が触り心地がよさそうに撫でていたり。見つけきれなかった物もありますが、そういうのを探しながら見ていたので、少し違った見方で映画を楽しめました。
小道具でそれだけこだわっているので、他の点についてもである意味信用しながら見ることができました。
食事ではこのようなものを食べているのか。
その茶碗はそのように持つのか。
部屋の飾りはそのようになっているのか。
戦いではこんな方法も使うのか。
などと、映画ではあるのですが、半ば教材であるかのように見ていました。
他にも人々の並び順や、物の置かれる位置や、退席の様子、自害の方法、使用される単語と文と、本当に様々な部分にこだわったのでしょう。
派手さや画面映えの犠牲にならないように、当時の文化を再現して見せてくれているようでした。
人々のドラマの合間にうかがえる彼らのさりげない所作、それに周囲の品々は、文化を美しく映像化した資料としても見ていられます。彼らの生活や人生をもっと眺めていたくなるほど、充実したシーンの数々でした。
できればまた、こういった映像を作っていただきたいです。
戦国暴走老人日記
金子修介監督にしては、なんだかピンとこない作品ですが、むしろ脚本の出来が悪過ぎます。信虎が息子信玄の危篤を知って武田家に呼ばれもしないのに帰還するのは、まさに暴走老人のはた迷惑な勘違いで、感情移入しにくいです。想いとは裏腹に武田家の塩対応は無理からぬ事ですが、そもそも信虎追放のきっかけになった信玄との確執が描かれていないのでドラマの厚みがなく、回想シーンや大したことのない細かいエピソードがブツ切りに盛り込んでいるだけで、全体的に散漫で盛り上がりにも欠けます。主演の寺田農は、脇役が多い役者さんらしくクセのある演技がいい感じです。
寺田農の怪演
戦国時代の名将・武田信玄の父・信虎は、信玄に甲斐を追放され30年が過ぎ、80歳になっていた。信玄の危篤を知り武田家での復権を目指した信虎は甲斐へと向かったが、信玄の息子・勝頼に信濃で阻まれてしまった。やがて武田家存続が自らの使命であると思った信虎は、織田との決戦にはやる勝頼を止めようとするが・・・という信虎目線からの話。
信虎役の寺田農が素晴らしく、あとは、お直役の谷村美月がいやらしくて面白かった。
個人的にはあまり知らなかった武田信玄の父の事を知ることができ、良かった。
作品としては寺田農の怪演に尽きる。
とにかく丁寧な作り込みが印象的
信玄公生誕500年の今年、敢えてその父・信虎にスポットを当てた軍記物。
一般的に良く知られているのは信玄との確執から甲斐を追放されたことまでで、信玄の死後、国主への返り咲きを目論んで帰還を果たそうとしたことは知らなかった。
本作はそんな信虎が信玄危篤の報に接し、甲斐への帰国を決意したところから始まるが、混乱に乗じた周辺諸侯の侵略を案じる臣下の者達の反対に遭って領下の城に封じられて、なかなか甲府へ戻れずにもどかしい日々を過ごす。
やっと躑躅ヶ崎館へ戻ったと思った矢先、自身も病に倒れ、武田家の行く末を案じながら世を去る、という信虎の最晩年とその後、孫の勝頼の代で武田家が滅亡するまでの数年間ほどの話なので一つ一つのやり取りにじっくり時間を掛けて描かれていて、伝記物にありがちな出来事を何でもかんでも無理やり詰め込んだ感を排してるのが良い。
物語は江戸初期の幕府要人にして、武田家再興に尽力した武田家の縁戚・柳沢吉保が子に甲陽軍鑑の内容を講釈する体裁で進行する。だから、極力平易に描かれているし、画面上では新たな登場人物や場所にその都度、説明字幕が付くので歴史に疎い人でも見やすくなっているのも親切。
また、着物・甲冑・髷、調度品、乗っている馬や合戦シーンの飛び散る血しぶきに至るまで細部までこだわっているのも製作陣の力の入れようが伝わってくる。
そして、映画音楽の大御所・池辺晋一郎の曲がこの作品に重厚さを与えている。
ただ、単なる歴史大河モノに終わらせず、信虎が身延山久遠寺にて会得したという秘術を駆使し、周囲の者たちに次々と呪いを掛け、最後は自身にも秘術を用いて、輪廻転生を果たし後世に武田家の再興を果たしたという眉唾物のエピソードは少し作品自体を軽くしてしまったかな?
主演の寺田農はインタビューで「自分はアマチュア役者」と語っていた事もあるとおり、どんな役柄にも染まれる芝居上手な俳優では決してなく、ちょっとアクが強くて、キャラが立った役者さん、という印象。
だから、ハマる役とそうでない役の差が大きくて、演じる役柄によっては、言葉は悪いが画面の邪魔になってる事も多い役者、というのが個人的なイメージ。
本作でも、棒演技が鼻につく(特に臨終のシーン)ところもあったが、長い役者人生で久々の主演作で力が入っているのは画面越しに伝わってきた。
返す返すになるが、歴史に疎い人でも見易いように非常に丁寧に作られた作品。
上映館が少ないのが勿体ない。
それなりに面白い
歴史的な背景とか言葉遣いとかメイクとか見どころはそれなりにある。
しかし、霊光とかそういうのが出てきた頃から散臭くなり宗教じみてくる。
この頃から何人か帰って行ったw
我慢して最後まで見たけど辛かった。
偽書になってるってはじめに説明されてて納得した。
戦国時代のゴッドファーザー
一言で言えば見ごたえが有った。 これに尽きる。
低予算の作品ながら大手に引けを取らない作品と成っており、演じる俳優陣も実力派が並んでいて満足でした。
戦国時代を扱っていながら合戦の場面は少なかったが、それを補って剣劇がふんだんと有ります。
それでも敢えてマイナスポイントを挙げるとするなら、他の人も語っていたが武田家の滅亡の原因を従来通りの二人の寵臣にした事。
信虎が悟りを得た後に自分の近辺にいる人間に暗示を掛け後を託そうとしたのは物語的には無理があったような気も。
ロードムービー有り、陰謀劇有り、剣劇有りと飽きる事の無い映画でした。
歴史好きでも、エンタメ好きでも楽しめる
武田信玄の父、信虎を主人公とした武田氏の滅亡と再興のお話。
歴史好きとしてはかなり面白いです。通常、信玄が主役の話は、父の信虎は悪者扱いですね。暴君で民衆や家臣の反発を招き、息子の信玄に国を追い出され放浪します。信長の父信秀もだいたい悪い感じで書かれますが、武田にせよ織田にせよ、家の基礎を築いたのは親父さんの功績なのは疑う余地もない。
織田信秀は42歳で亡くなりましたが、信虎の方は81歳まで生きました。息子の信玄よりも長生きで、最後は高遠というと信濃の国に戻って亡くなっている。
この事実や、甲陽軍鑑という書物の記述などの断片的な「事実」を繋ぎ合わせて、大きな歴史フィクションを描いたのが、本作。
物語は門構が映ったあと、室内に映像が切り替わり、パッと床の間の飾り棚がアップで映されます。これが素人目ですが、むっちゃ本物っぽいんですね。そこから、5代将軍徳川綱吉と側用人、柳沢吉保のシーンにうつり、一時途絶えてた武田家が再興される場面になります。と、ここまでで「この作品は事実、本物に拘りますよ」と、伝えているですね。
実は本作は低予算映画なので、時代劇の見せ場である合戦シーンとかは、すごくショボいんです。でも冒頭のシーンで、観客に本物をやりたいんです、って言い訳がちゃんと効いているんですな。
物語はちゃんと冒頭の伏線にラストで繋がって、こんな歴史もあって良いね、って話。武田滅亡を描きつつ、ちゃんとハッピーエンドになるような救いがあってエンタメとしても楽しめる。一方で、かなり歴史考証がしっかりしている作品のようで、高遠城で孫から信玄の死を聞くシーンなぞ、ちゃんと孫の年齢を正しく設定していますね。
これは良作です。
本格的時代劇ここにあり
黒澤明監督の時代劇を彷彿させるノスタルジー感あふれる仕掛けが、いっぱいでした。
監督は、平成ガメラ3部作を手がけた金子修介氏。戦国武将・武田信玄に追放された父・信虎の物語ですが、高齢化社会の現代にも置き換えられるようなシーンもあり、激動の戦国時代を生き抜いた男の野望と悲哀を寺田農さんが怪演されています。また脇を固める俳優陣の演技にも圧倒されました。ストーリーはシリアスながらも、猿や子役たちも笑いを誘ってくれました。また和の雰囲気を醸し出す音楽も素晴らしかった😊
殺陣シーンもありながら、ハッピーエンドで終わるところは、ハリウッド映画のようだなぁと感心いたしました。
来年は寅年、「信虎」がロングヒットしますように。
歴史的な説得力と迫力
面白い映画だった。時代劇の妙味は、基本的な史実は史実のとおり尊重しながら、その史実の間に「そういうこともあったかも知れない」という伏線を埋火のように埋めることだが、それに見事に成功している。登場人物が多いが、人物の登場に合わせて人物名が「武田信勝 勝頼の嫡男」などとタイムリーにテロップで出るので、混乱なく歴史の順序に気持ちが乗っていける。人物名がテロップで出ない映画の場合には、「これは信勝様!」と呼び掛けるなどのセリフが必要だが、それがない分、会話がすっきりしていて自然な臨場感がある。テロップがなければとても135分の尺に納まらなかっただろうと思われる。
建物や馬具、武器、さらには食器に至るまでリアルなものが用いられており、視覚的な迫力・説得力は大変なものだ。
また、戦闘シーンの自然さはとくに強調しておきたい。戦国時代の太刀捌きや足捌きは、徳川時代になってから定まった所作とは全く異なる。太刀の寸法も違えば、槍や弓の使い方も異なる。そのような武道所作のひとつひとつが、そういうことに詳しい者の眼で見ても不自然でないほど正確に、つまり歴史的考証に忠実に仕上がっている。時代性に忠実なタテの指導に敬意を表すると同時に、そのタテ指南に誠実に答えたキャストの人達の画面には映らない努力の大きさがうかがえ、久しぶりに見応えのある思いをした。
信虎は信玄によって国を追われた信玄の父である。父を追い払って当主となった信玄はその後間もなく陣中で没した。物語はそこから始まり、武田家が滅亡を迎え、徳川治世になってから再興を果たす。物語の中心プロットは、この滅亡と再興を繋ぐ一本の細い糸で、じつに巧みな構想で挿入されていて、鑑賞者は最後に膝を打つ仕組みである。その糸や埋火についてレビューでこれ以上触れるのは、マナー違反であろう。劇場でご覧になることをお勧めする。
もう1回行けるかな?
知人がこの映画の支援でクラウドファンディングに参加されたということで、私も応援のつもりで観てきました。
寺田農さん良かったです!
信虎の人間味がよく出ていました。
武田家の歴史は詳しいほうではないので、画面に字幕の説明が無ければ難しく、字幕に助けられました。
エンディングの5千円のクラウドファンディングの名前の読み取りは残念ながら名前の間隔が一文字分しかなく、読めませんでした。
名前の確認も含めて、もう一回観に行きたいです。また沢山の人々にご覧になっていただきたいです。
老いて軒昂な元戦国大名を描く
ある程度の戦国ファンの私だが、『信虎』が信玄没後も生きていたことは知っていたが、信州高遠で亡くなったとは知らなかった。そもそも前情報無しで観たので、『信虎』というタイトルだから、信玄に追い出される前を描くのかと思ったが、信虎公の最晩年を描いている。
主役の信虎に扮するのは大ベテランの寺田農。物語の信虎が意気軒昂なのとシンクロするように、往年とほぼ劣らない演技やセリフ回しに驚かされた。また信玄の肖像画に激似の永島敏行(ホントは長谷川等伯が描いた恰幅の良い肖像画は畠山義続の像らしいが)が、信玄と、信玄にそっくりで影武者(そんなタイトルの映画もありましたな。。。)を務めたともいわれる弟の逍遙軒信廉の二役を演じていたが、その画家としても有名な逍遙軒が描いた信虎像に寺田農がまた生き写しでキャスティングが光る。ちなみに信虎がある“特殊能力”を発揮するのは、ガメラの監督だからか?
『真田丸』でおなじみの平山優先生らが考証を手掛けており、ある程度、史実に忠実なようだ。ただ、かつては偽書とまでいわれた『甲陽軍鑑』重視となっており、近年は同書の見直しが進んでいるとはいえ、武田滅亡の原因の大半を武田勝頼の寵臣だった跡部勝資と長坂釣閑斎のせいにするのは無理があると思う。『甲陽軍鑑』は信玄の代からの家臣、高坂弾正昌信の口述が起源と考えられており、そもそも勝頼寵臣2人を批判するために成立したといわれています。
信虎が信濃の境を越える処以外は、戦(いくさ)のドンパチは無いのかと思いきや、天目山の武田滅亡はリアルに再現、見どころの一つとなっている。
ラストには京の名物にかかわるエピソードが添えられており、たぶん俗説だろうが真偽はともかく微笑ましいオチとなっていた。
まあまあだった
会話の場面が多くて眠くなる。人間関係や勢力図はマンガの『センゴク』を読んでいたお陰でなんとなく理解できるのだけど、なんとなくしか分からない。国境を超える場面が一番熱い。全く鮮やかでなく、むしろモタモタした殺陣がリアルでスリリングだ。
戦で引きの絵が皆無でつらい。景色が映らないように見上げる構図と音でがんばる。リアルに戦国時代を再現しようという志は非常に感じられ、膨大な予算でこの美意識で合戦シーンが見たい。
あの世に行ったら信玄に国を大きくしたことを褒めてやろう。そして、信繁と三人で語り合おう。
冒頭、甲陽軍鑑は偽書なのか?と問う。その姿勢には好感を持つ。同時期ではなく、やや遅れて、しかも口述をもとに纏められた書物は、編纂者の意図が大きく反映され、誰かを持ち上げるか貶めるかの目的が色濃い。この映画も、そんな人物評価(跡部や長坂に批判的)だった。
で、主人公の無人斎道有こと、信虎。いままで正直、メインを張るようなキャラではない印象だった。それは地元の意向で記録映画的に残しておきたかったのだろうと推察する。だから、どうしても、物語の進行が地味だった。戦国時代に興味がなければ退屈な内容だった。ただ、細部にこだわりが見える点には頭が下がる。登場人物は脇役に至るまで丁寧に演出してるし、衣装や甲冑もいい。何より、信虎の乗っていた馬がサラブレットではなく、ポニー(というのかな?例の小さな)だったのが、見栄えではなく史実にこだわりが見えた。
これまでのドラマや映画ではたいてい、追放された、で終わっていた扱いだったので忘れていたが、81歳まで生きたとはな。息子信廉の描いた肖像画そのものの、アクの強い信虎だった。
日本甲冑武具研究保存評議員も噛んだガチな戦国絵巻
まずこの映画で語られるべき点は日本甲冑武具研究保存評議員で茶書研究開発理事というガチな時代考証及び美術装飾の再現が出来る超人、宮下玄覇氏を共同監督に立てたことでしょう。
末恐ろしいです。茶道具、書、甲冑、弓矢等武具、掛軸、屏風、すべてその当時のものと錯覚するような色合いと外観で揃えている。
加えてロケ地となった建物。よくあるチープな軽い建材ではなく、マジでその当時の物を使っているような年季を重ねた色をしています。素晴らしい。
そして俳優陣。
割と旬な若い俳優さんを無理に年の重ねた役に起用することが多い今日ですが、永島敏行さん、隆大介さん(ご冥福をお祈りします)、榎木孝明さんとベテラン勢を主要メンバーに据えられている。だからどっしりと構えて安心して観ることができる。
更にメインの信虎役に寺田農さん。最早一挙手一投足が重圧感に溢れている。勝てるわけがない。左文字がこれほどまでに似合う役者さんはそうそうお見かけしない気がします。
短期間、低予算での撮影だったと金子監督がパンフレットで語られていますが、特に戦のシーンについてはこれでもかとモブが溢れる大作よりも、ちゃんと投石を使ったり、弓矢や槍で体の柔らかい部分を狙って倒す等、かえって少人数での戦場面ならではのこだわりが見えていたと思います。
全体的に派手さには欠ける映画ではありますが、イケメンが跋扈する煌びやかな戦国映画よりも昔ながらの土臭いオッサン武将の映画が観たいという方には全力で推せます。
なお評価が3.5止まりなのはラストシーンの影響ですな。みんなラピュタを観てる客ばかりではないのですよ…?
ストーリーだけではない面白さ
戦国の世における信仰に興味があるのですが、本作ではそういった要素が意外な形で描かれていて正直ものすごく興味がわきましたし、面白かったです。(そこまで歴史自体に詳しくはないのでどこまでが史実か判断できない自分が残念です。)
また、当時の生活様式に限りなく近づけたであろうリアルな世界観や華麗な衣服、渋い調度品など目が2つでは足りないくらいのこだわりが感じられました。
戦闘シーンは、大軍同士の戦いではないので、アクション映画のような大胆な迫力とは一味違いますが、自分が武士だったなら戦なんて恐怖の対象でしかないだろうな、と思うような生々しい緊迫感や、人命の儚さが感じられました。命を賭して戦う武士、格好良いです。
期待以上にあらゆる側面で面白い映画でした。
戦国時代とは…
この映画を観ようという人は、恐らくは歴史好き、時代劇好き、映画好き、何れかなのではないかと思う。
かくいう私はその何でもない、ただぶらりと休日の暇つぶしに映画館に赴き、その時間にたまたま上映していたので鑑賞したにすぎない。
しかし思いの外面白かったので記録しておく。
なるほど、歴史に通じた者が制作したことは間違いがない。知識があるならば更に楽しめただろうとも思う。
最近は忙しく仕事に追われているせいか、時間をかけて何かを感じたり、考えたり、願ったりする時間がなかったように思えた。
そういうことを思い起こさせる映画であった。
個人的には、現代に疲れた人に観てもらいたい、そういった類の映画である。
いや、本当は歴史好きが観るべきですよ。間違いなく笑
天才を世に送り出した後に、親は何をする冪なのか。
前半はあり得ない位に 何もかも、最下級に値する”酷い愚策D級映画”として始まる。
撮影も酷い。特にスロー画の扱い等においては、本作を鑑賞している すべての者の瞳孔が開いてしまうのではないかと思う程だ。
しかし中盤になるにつれ、主演:寺田農さんの存在感ある名演技に助けられ、作品としては持ち直す。
撮影は”準どり”だったのでしょう。LOL
時代映画ではいつも気に成る”わだち”
今回もしっかり 気を使わずに見事映り込んでいました。
公開後でもいいからCGで消修正してほしい。
題名から、この映画は 甲斐を統一した日々を描くのか?
それとも 家督を奪われた事変を中心に親子の葛藤を描くのか? と予想していたが、
信玄なき後の信虎の苦労を題材に描くとは
素晴しい目の付け所です。
日本そして世界の”老齢化社会”を迎えるにあたって、
隠居ではなく、第二の現役として
自分の人生をどう迎えるかというテーマに切り込んだ良い映画となった。
和菓子・ようかんで日本一著名である「株式会社 虎屋」が信虎の末裔の会社と匂わせるのはすごい落ちだった。
概ねの考証はよく、信繁公の母衣がでてきたのは嬉しかった。
裏側ではなく、表では何が起きていたのかを考える意味でも、黒沢監督の「影武者」をまた観たくなった。
甲府に行きたくなる映画
気付いたら武田領内にいる、そんな気持ちになる映画でした。
信玄没後の武田家ってそんな感じだったんだ……!と学びもあったり、戦国時代の死生観もわかりやすかったです。
自分よりも若い「これから」を生きる人達に何を託したいか、託すべきかと奔走する信虎を寺田さんが熱演されていて、良い意味で寺田さんであることを忘れて見入ってしまいました。壮大な音楽と風景がとてもきれいで、今とても史跡めぐりに出かけたいです。
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