PITY ある不幸な男のレビュー・感想・評価
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不幸の状況下に順応し、周りの人々の同情や優しさを当然の権利の様に受...
不幸の状況下に順応し、周りの人々の同情や優しさを当然の権利の様に受け入れていた男が、その不幸の原因であった妻の回復によって、今まであった自分への施しや憐憫がなくなるとゆうことに対して(当たり前なことなのに)
それを、何か“損をした”“自分の権利が奪われてた”と感じてしまう人の欠陥みたいな哀れさみたいなものをブラックコメディとして描いてると思った。
代理ミュンヒハウゼン症候群
妻が不慮の事故で昏睡状態に陥り、世間から同情されることに依存していた
代理ミュンヒハウゼン症候群の男。
この症候群の怖さは、同情される状態を維持しようとすることにある。
同情される要素が無くなれば、たとえ道徳的、倫理的に間違った方法でも
再現しようとする。
映画の冒頭から感じていたことだが、この男は妻の事を少しも心配していない。
悲しむことを練習し、自己陶酔し、同情する者たちの行為に胡坐をかいている。
その状況が変わり、他人からの見方が180度変わることが
男の狂気のスイッチになっている。
妙な映画でした。
妻の不幸から他人からの憐れみに依存していく弁護士。妻が奇跡的に回復(BGMはレクイエム)した?あたりから現実と妄想の境目が曖昧になってくるという不条理コメディ。妙な後味の映画でした。
わたしの不幸は蜜の味
キワモノ。
「ギリシャとポーランドの合作」という珍しい取り合わせに食指が動いたのだが
(レビューの少なさが物語っているが)
B級スプラッターマニアが喜ぶようなありきたりな結末でがっかり。
ただし、
幾度も印象的に見せてくれた
・玄関でのケーキ受け渡しの二人の立ち姿、
・エレベーターホールでの体の向き、
・ピアノの前で弔いの歌を聞かせる時の息子と父親弁護士の静止ポーズ、そして海辺のシャワーシーン等
人間をフリーズさせてスチル写真のように撮るこの技法はとても面白かった。
・・・・・・・・・・・・
“不幸愛好家”はこの世には存在する。
知り合いにもいる。
「幸福の木も枯れちゃったのよ」と自らの不運を延々とひとりで喋る友人に、僕はつい笑ってしまったが、
この弁護士みたいに不幸製造機にまでイッてしまうと完全にこの人ビョーキだよね。
映画に救いがあったのは、弁護士以外はみんな普通の人々で、そのメンタルが健全であったことかな。
情動的共感という危険な泥沼地獄を突っぱねる正常さを脇役たちは持っていた。
「お前白髪なんてぜんぜんないぞ」
「そう毎日はケーキは焼けません」
「奥さんきのう見ましたよ」
突っぱねる 突っぱねる。
ただし病人=弁護士を病院に連れていくのが間に合わなかったのが悔やまれるということだ。
映画の作意としては、
《同情しているふりをしていてもしょせん他人事。
お前らは更に高次な次の不幸を探して同情相手を嗅ぎ回る連中なんだろ?》と、
どうやら監督と脚本家は我々のことをセンセーショナルに指弾したいようだったが、まるで青くて中学生のシナリオかと思った。
“他人の不幸を飯の種にしている”弁護士さんたち、そして医療従事者さんたちは、この映画にはイヤなものを感じるかもしれない。
でもこういう主人公=病的自己弁護人を、本当の弁護士や医者は我慢して、頑張って、受け容れて治療をしてくれているのだ
この監督の作品集を思い起こせばみんなどこかがおかしい。監督には同情(同調)出来ない。
むろん映画は社会の鏡ゆえ、ギリシャでもかような犯罪が増加しているのだろうが、
「死刑になりたかったので誰でもいいから殺したかった」とか、日本でも昨今流行している自己完結型・自己陶酔型の犯罪形態を見ると、本作、それらへの警鐘なのか、or それへの傾倒なのか、映画の制作意図が詰められていない。
40代の監督と脚本家ならもっと大人の作品を撮ってもらいたいものだ。
ナンセンスの開き直りはいかんな‼️❓
前半はアバンギャルドでハイセンスで、なおかつファンタスティックですらある。
徐々に、不穏な雰囲気と、異常性格が浮き彫りになる。
注目され、同情され、寝たきりの妻がいて金持ちの弁護士、社交的で、自己中の男。
どこにでもいる人間、それが最後に凶悪な男に。
まるで繋がりが無いし、社会面の三面記事を写した様なチープな軽薄な映画、最低の映画。
前半が素晴らしいだけに、信じていた人に裏切られたような、後味の悪さ。
パツケージが良いからまた観てしまうかも。
残念で、愚かな人。でも自分もそうかも?
この主人公は、同情されることで
自分の存在価値を確かめていたのか。
歪んだ自己愛のようなものが強すぎると
人間は、本質的なものを見落としてしまう
かなり極端な描き方だとは思うけど
現実に、この主人公のような思考に陥っている人は多くいると思う。
程度のレベルはあれど
SNSにちょっと気を引くようなメッセージを書き込む
とかの延長にある顛末のように感じた。
自分への戒めとして良い作品。
自己観察
昔、私も悲劇の主人公に憧れ自作自演したことがよくあったなーと、過去の自分を重ねて観ていました。アングラシアターで上映されるこの手のマイナー映画はメジャーのエンタメ作品に比べ、作品を通して自己観察ができる点が良いよなと改めて思いました。本作は映画としても決して悪くなく、それなりに楽しめました。
【思い出したこと】
人に同情してもらうために隠れて自傷したり、身体の不調を訴えるのは「ミュンヒハウゼン症候群」だ。同様に、子供を傷つけ、自身に同情を得ようとするのは「代理ミュンヒハウゼン症候群」だ。
この両者とも微妙に違う主人公を眺めながら、最近、テレビの番組で放送していた秋葉原通り魔事件(2008年6月)のことを思い出していた。
他の人とうまくやっていけなかった犯人が、ネット掲示板で、自分をブサイクとか、結婚などできないと卑下しながらも、他人から注目されることに希望を見出していく。
しかし、自分に好意的な投稿をする人に会いに行くために申請した長期休暇を会社から断られると退職してしまう。
そして、掲示板の投稿者と会うために旅行を繰り返すが、思ったようにいかず、自殺をほのめかすも、投稿者に思いとどまるように説得される。
その後、再就職し再起を図るが、ネット掲示板への依存は変化せず、ついに、ネットの所謂「荒らし」の標的にされ、投稿者が自分から離れていくのを目の当たりにして、被害妄想の占める割合が高まり、職場でのちょっとした自身の勘違いをきっかけに狂気が爆発し、犯行に及ぶことになる。
この映画の主人公は、同情・親切のみが社会と接する窓口で、それは受け取るだけで、実は、他者には口だけで、施すことなどない。
突如として大音量でバックグラウンドに流れるクラッシック音楽や、この主人公の叫び声は、ネット社会に鬱積した怒りとも狂気ともつかない感情のようにも感じられ、背筋が寒くなる。
目の部分が裂けている映画のフライヤーは、相手のことを知る由もない現実を表現しているのだろうか。
こうして、怒りや狂気は蓄積されているのかもしれない。
やや解説不足は目立つが、他に比べれば…+(おまけ)他作品との兼ね合いなど
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(※) 採点上、特定の他の映画の話をどうしてもせざるを得ないのですが、それは採点・評価の上の話であって、その「特定の映画」についてどうこういうつもりはないことは断っておきます。
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今年139本目(合計203本目)。
今週、この映画館をやっているのはミニシアターが多く、今週(先週の金曜日から、の意味)では「特定の問題」(※/以下、※と書いた場合、採点最後の「他事考慮」の部分です)を考慮する必要があります。
この映画はまず理解の難しい映画です。ここの特集や予告で「妻が不慮のトラブルで昏睡状態になって、最初はその夫(主人公)をあわれんで、いろいろサービスしてくださったり(あのケーキ、おいしそうですね…)していたものの、どんどんとその興味関心が離れていくどころか避けていくようになると、主人公が発狂して…」という趣旨になろうかと思います。
より詳しくは、おそらく医学的にはああいうのは何らかの精神疾患になるのでは…と思うのですが、そこまで映画内で描かれていませんし(お医者さんがそういう趣旨のことを話すシーンはない)、そこもセンシティブな話なので避けておきます。ただ、パンフはあってもよかったのだとは思いますが、仮にあっても…(以下、他事考慮にて)。
日本では珍しい類型の映画だと思うし、確かに扱う範囲としては非常にマニアックで、理解がしがたい点が多数あるのも事実ですが、一応ストーリーが成り立っているとは思える点(ただ、やはり、理解は難しい…)などを考慮すると、「文化が違いすぎて(観た方はご存じと思いますが、日本から遠く離れた国の2国合作映画です)理解できなくても仕方なし?」という類型にも思えます(それで説明が長くなりすぎて180分コースとかというほうがまたコロナになるのもあれなので)。
評価ですが、下記が気になったところです。
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(減点0.3) 上記に書いたように、ミニシアター中心で事前の情報を得にくいことと、何を言わんとするか理解が難しい(ただ、支離滅裂ともいえない)ところはあります。
ただ、この映画、アメリカ映画でもありません。つまり英語ではないので、字幕の抜けなども補えません(ギリシャ語?)。その割に、主人公がピンクに近い白色のシャツを序盤にきていたり、ピアノを弾いたりするシーン(いずれも、背景が白くなる)で、字幕が完全に同化している(そこで、さらに常用漢字外の読みにフリガナがふられていても、読めない…)ところが少なくとも3か所あります。
こういう点はちょっと惜しいというか、「趣旨的に理解しがたい」上に、さらに混乱を招くので、何らか工夫(当該部分は字幕を縦にするなど)が欲しかったです。
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(減点なし/他事考慮) この映画はこのような理由で、理解が非常に難しい映画です。よって、パンフレット購入などは必須になるのではないか…と思えます。ただそこで問題になるのは、この映画がミニシアター中心というところ(大阪市では現在2つ)。
そこで問題になるのは、まぁ、名前は出しませんが、「アニメ映画に一応は分類されうるが、およそ子供はいかないであろう映画」をミニシアターがどんどんやっていて、「パンフレットすら買えない」状態にある点です。中には、シアターが2つで、1日12放映のうち4放映が「その映画」というところさえあり、グッズ売り場の大半が「その映画関係」になっている状態で、パンフレットはどこですか?というところさえ苦労します(その「その映画」を見た「特定の方」がざっと集まるので、近寄ることさえできない)。
来週(厳密には、暦では今週の(金))からも同じ状況で、いわゆるミニシアターでやるような映画も1日1回等となっており、それらが妙な時間帯に振られているかと思えば、「その映画」はやはり4回もあって「英語版」まであったり(誰が見に行くの??)、「なんだかなぁ…」というところです。
去年(2020)の1回目の緊急事態宣言では有無を言わさずミニシアターも全部しめさせたため、抗議が殺到して ミニシアター中心で save the theater (映画館を守ろう)という活動をされていたのですが、それ自体は趣旨も理解するものの、今度は一応、憲法上、営業の自由(22条)などあるとはいえ、「「その映画」の類型ばかり」延々と流されたら、さすがに次に何かあって save the theater だの何だのになっても、それでは賛同を得がたいのではないか…(一切流すなというのではなく、他の作品との放映バランスが極端にアンバランスに過ぎる)というため息しか出ないです。
この映画はこのような「その映画」をミニシアター中心に「同時に」、今週も来週もずっとやるとなると、ただでさえ理解が困難な映画がさらにパンフレット購入などに支障をきたすほど集まり始める状況と化しており、パンフも買えないとなると、正直どうしろという話で、「妙なところで」減点した方もいるのではないか…と思います。
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映画観ちゃった、こっちの方が不幸だよ
全然面白く無いし、気持ち悪いだけ。2021年、ワースト映画の一つであることは間違いない、多分。
もしかして「PITY」って、「退屈」って意味かと思って、観てたけど、「お気の毒」って意味だったか。
ほんと、同士の皆さん、「お気の毒」でした。
流れよわが涙、と弁護士は言った
長い昏睡とリハビリを乗り越えた妻が夫に情を求めた時 この男に感じていた違和感が明確に表出する
どこか人間的に稚拙さを漂わせる主人公との対比を際立たせる成熟した魅力に溢れた女性キャスト
手段と目的が入れ替わり混乱する滑稽な男の顛末
観客が気にかけていた事が劇的に解消される終幕にニヤリ
タマネギで充分です。
事故で嫁が危篤状態にあることを同情されることに悦を覚えてしまった男の話。
悲しみに浸り、大丈夫ですか?やお気の毒にと心配されることを待つ男。
そして嫁が奇跡的に復調をしたことで、それが味わえなくなって…。
もの静かで言葉数の多くない男の心情を、字幕の補足的解説を織りまぜながら淡々とみせていくけど、これってコメディですよね?
言いたいことは判るけれど、常に少し先が読めてしまうしテンポもまったりだから冗長でしかたない。
オチにしても概ね二択な訳で、あーそっちねという感じ。そしてそのまま終了ですか…自分には合わなかった。
ある不幸になりたい男 が正しいかな
内容全く知らず、ポスターだけで不穏な空気を感じながら鑑賞。
前半は認めたくないけどまぁ共感できるんだよな、と気まずい気持ちで主人公を眺めていたのですが、途中からあれ、これコメディなのか?と思い、あるシーンでは爆笑してしまいました。その後想像通りの結末へ突き進んでいくのですが・・・。
ちょっとラストシーン一つ前のカットの意味が分からず、そこだけモヤっとしています。
映画始まってから終わるまで一切変わらない主人公の表情は今日夢に出てきそうで憂鬱です。
なんか心に引っかかる映画という事で星多めです。
ただ主人公に一言だけ言いたいのが、いやお前そういう時こそ映画観ろよ!
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