スティルウォーターのレビュー・感想・評価
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まだ『クライ・マッチョ』を見ていないのに情感を使い切ってしまいました
私にとっては『マンチェスター・バイ・ザ・シー』と同じくらいに心を揺さぶられるヒューマンドラマでした。まだ『クライ・マッチョ』を見ていないのにこんなに情感を使ってしまって大丈夫⁈と心配になるほどです。
(以下、ストーリーには触れませんが、ネタバレ嫌いな方はご注意❗️)
父「人生は冷酷だ」
娘「ここは昔と少しも変わらないわね」
父「俺にはすべてが違って見える」
それまで信頼関係を失っていた父娘は最後になっても噛み合わない。
『釈放』という共通の目標(いやらしい言い方をすれば、表面的な利害関係の一致)を達成した後の平穏なはずの日常には、安定よりもぎこちなさのほうが優るという皮肉。
父がこれまでの人生で一番充実していたのは、娘の無実を晴らすための活動が停滞し、当てもなく準備期間としてアルバイトに精を出していた〝かりそめの日常〟の期間。
平和な日常の平凡なルーティン(同居人の娘の送り迎えなど)こそが、何よりの生き甲斐と充足感をもたらすのだ、ということがこんなにも分かりやすく描かれていることにビックリです。
フランスの、どちらかというと知的な階級に属する人たちのアメリカ観などもユーモアにまぶして描かれていてクスっと笑えます。
色々な要素が過度でなく、それでいて分かりやすく、かつ深く沁みてくる。
ヒューマンドラマとしては少し異例と思えるような希望の無さも、実際の人生においての想定としては、むしろ説得力があると思います。
第一印象としてこの映画をどう思うかは人それぞれだと思いますが、しばらく噛み締めたくなるという意味では少しでも多くの方に見ていただきたい映画です。
まるで昭和の親父
タイトルなし
フランスのマルセイユを舞台に、アメリカ親父マット・デイモンが一人娘のために奔走する。
言葉が通じず、手探りで行動する主人公という構図は「第三の男」を彷彿とさせてハラハラするし、ことの次第は思わず主人公の肩を抱いてやりたくなるほど切ないものだ。
マット・デイモン演じる親父は妻に先立たれ、娘を一人で育ててきた。しかし、娘には信頼されていない。かつてアルコール中毒に悩まされ、妻の遺品も自分のミスで失くしてしまう。逮捕歴もあり、信頼されていなくて当然といえば当然だ。娘を助けるための行動も裏目に出てばかりだ。しかし、それは娘も同様だ。というか、観客を含め人間誰しもそうだ。いや、勿論犯罪はダメだけどさ。人生は自分や他人の様々な思惑や行動が絡み合い複雑になっていく。その混沌が、美しくも雑多なマルセイユという街に重なり、雰囲気は最高だ。
監督はトランプ政権になってからのアメリカ国民の意識の変化という要素も取り入れたかったようだが日本人には分かりにくいし、例えば実際に大切な人が異国の地で危機に直面したとしたら、その人のこと以外なりふり構わず救おうとするのは当然なことであり、アメリカファーストの考えが充満したせいにするのはしっくりこない。
いいなぁ、マット・デイモン。ほとんど全編がフランスのマルセイユ。マ...
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