「Matt Damonのストイックな役になぜかハマる」スティルウォーター sarugakuさんの映画レビュー(感想・評価)
Matt Damonのストイックな役になぜかハマる
Matt Damonはいい演技しているなと
そう意識しながらも
映画の世界に入り込んでしまうところもあって
とてもいい映画でした
Mattが自分と娘に言い聞かせるように
「人生は残酷だよ」(二回目)とつぶやく結末は
シナリオ作成の早い段階から決まっていたかのように
しっくり収まっていました
最後の最後で、何もかも急ぎ足で決着がつき
お決まりのハッピーエンドから外れたようで
それでいてお約束の苦い定番エンディングには
面白いシーンと面白い台詞が詰め込まれていました
あの地元有力者の演説シーンで
あのお帰りなさいケーキ・シーンで
フランス生活が、急にアンリアルとなるもどかしさがありました
アメリカの皆さんはどんな感想を抱くのでしょうか
リアルだと思うのか、シニカルだと思うのか
それともクールな味付けだと思うのか
(確かに、アメリカ的 VS フランス的という
わかりやすいステロタイプな言動の対比からの
思わせぶりシーンは全編を通して多かったです)
Mattはダメ感を醸し出しながらも最愛の娘のために
地味に寡黙に不屈の精神で自身の筋を貫き通したのでしょうか
最後には娘と通じ合えたのでしょうか
ラストシーンで、あの裏表のない親切なフランス人親子との関係には
もう戻ることはできないとMattは納得しています
次に、娘がオクラホマはいつも変わらず同じと言うと
なにもかもが違っていて決して同じにはなれないと、、、
そこで暗転、映画は終了します
この結末には、いろいろ考えさせられました
Mattは故郷に戻ってきて、娘との関係も修復したかのようで
かなり苦味ある達成感を得たかと思いきや
同時に重い喪失感を抱えているような
(そこまで本当にあのフランス人親子と深い絆を築けたのかは不明)
その喪失感的な終わり方って
現代のアメリカ人やアメリカ社会が抱えている
何かよくないことのメタファーみたいなところも匂わせていて
昔のニューシネマのエンディングみたいな感じもしました
う~ん、本質的には全然違いますけど、
この作品は、自己主張の地味なコロナ下での佳作というか秀作ですから