「人間のすることはすべて間違いだと考えた方がいい。」スティルウォーター はるさんの映画レビュー(感想・評価)
人間のすることはすべて間違いだと考えた方がいい。
少々太ったマット・デイモンもいいものだ。取り返しの衝かない過去を引きずりながらも懸命に娘のことを案ずるオヤジ。無様な生き方をしてきた中年男のふがいなさがその背中に滲み出ていた。ごく普通の家庭に充分に起こりえる悲劇は自分の人生を再構築するために身も心もズタズタにさせられる。それは孤独と屈辱を同時に味わせてくれるマルセイユ。言葉も通じぬ国で娘の無罪を証明するために孤軍奮闘する。その行動はまるで怠惰な野生動物のようでどこか滑稽に見える。
娘の言動を心底信じてはいないよう思える。父娘といえども信頼、支えあったりするというのは今では砂漠の中で落としたコンタクトレンズを探し出すようなものなのだ
人間は生きていれば間違いを犯す。それは年齢に関係なく間違える。二度と間違ったりはないと100の神様に誓いをたてたところであまり効果はない。しかし、許される間違いを選ぶ努力ぐらいはしなくてはならない。
そんなことをマット・デイモン演じるビルの寂し気な瞳が語り掛けてきた。
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