劇場公開日 2021年10月15日

「ほんとにあった松本清張」最後の決闘裁判 Mさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ほんとにあった松本清張

Mさん
2021年10月18日
スマートフォンから投稿

監督リドリー・スコット、脚本にマット・デイモン、ベン・アフレックとくればこれは映画ファンなら、なにを置いても観に行かねばならない。

全三幕構成だが、2幕目の途中でこれ松本清張じゃんって気づいてしまった。
金、女、権力と欲しいものを手に入れてるにも関わらず、友人の妻にちょっかいをかけて転落していく、ついついやってしまうんだよね、清張は。

虚を追い求めて破滅する男たちと、常に実を取り賢く生きる女たち。「最後の決闘裁判」とロマン溢れるタイトルだが、女性からしてみれば、最初も最後もなくただ迷惑なだけである。
親の七光りのバカ息子マット・デイモンと底辺から這い上がった野心むき出しのアダム・ドライバー、二人の間で傷ついていく女性と三幕目にしてやっと本作のテーマが立ち上がるわけだが、まあ、長いかな。ここは本作の残念なところだが、松本清張と言うワードを頭に浮かべて観ると、これが不思議と面白い。

良いところは、監督のリドリー・スコットがデビュー作で「デュエリスト」、「グラディエーター」でアカデミー賞を取るなど、コスチューム物は得意で、冒頭からワンカット、ワンカット、キメにキメまくっていて、流石リドリー・スコットと言いたくなる。美術、撮影が素晴らしい。

製作者のインタビューを読むと黒澤明の「羅生門」が引きあいに出されているが、成る程三幕構成で同じシーンでもセリフや描写が異なり、真実は藪の中といったところだが、1つ確かな事は、14世紀のフランスに松本清張は存在していたという1点のみである。

M