「三者三様の視点でここまで印象が変わるのか」最後の決闘裁判 いたかわさんの映画レビュー(感想・評価)
三者三様の視点でここまで印象が変わるのか
主要人物3人それぞれの視点で、決闘裁判までの過程が描かれる。
タイトルにある通り、決闘のシーンが見どころ。ここまで大迫力でどっちが勝つのか全く読めないシーンが続くとは思わなかった。
そして今作は視点ごとに事実とそれぞれのキャラの印象が変わってくるのが最大の見どころだと思った。
マット・デイモン演じるジャンは国王への忠誠心が高く、理不尽にも屈さず非常に勇敢で、妻を大切にする聖人のような人物だが、友人のル•グリの視点では印象が異なってくる。
さらに、妻のマルグリットの視点によって見方が変わってくる。
この視点の変化によって、当時の男たちの名誉を守ろうとする姿を滑稽に見せてくれた点は新鮮だった。これまでだと、名誉をかけて闘うことを最上とし、その姿をカッコ良い物として描き、妻はそれを受け入れて支えるというのがよくある話だったから、時代は変わったんだなと思った。
そして、女性が声を上げることさえも許されない、権利もなく、ただ虚な神に祈ることしかできない終盤のマルグリットの表情でやるせない気持ちになり、身勝手な男たちにはらわたが煮え繰り返った。
羅生門のように3人の視点で同じ出来事を描き、当時の名誉を重んじる人間の姿の愚かさを見せつけることに成功したとは思うが、ちょっと長いなと感じてしまった。
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