「最低2回は映画館で観た方が良い映画」Pure Japanese sasayacoさんの映画レビュー(感想・評価)
最低2回は映画館で観た方が良い映画
昨今珍しい、原作オリジナルの映画で一言で言うと文字通り、バイオレンスアクションムービーですがそれだけで終わらないのがこの映画の凄さと新しさであり、中毒性があり冒頭から醸し出す不穏な空気のようにずっとまとわりついて離れない・思考がループする不思議な感覚に陥る映画です。
何度観ても誰が観ても、つまらなかったとしても、ついていけなかったとしても、観ることに意味のある映画です。
暴力・恐怖・サイコ・戦闘・銃・忍者・刀・などなどバラエティに富んだジャンルのアクションを観る事ができるので、物事を判断する時に形や目から入ったものを直感で選んでいく方はもちろん、
思考を繰り返して先読みして物事を判断する方にも愉しめる映画で、博識な方ほど思考の無限ループにはまっていきます。。
日本社会の縮図と歴史が映画の中で表現されていて、主人公役のディーンフジオカさん演じる立石の真っ直ぐさ故にズレていってしまう職人具合が恐ろしくバイオレンスなのですが、
まさにヒール役といえる現役プロレスラーの坂口征夫さんのアクションは演技だけでなくたたずまいから本物で、醸し出す冷酷な視線の先の恐怖と戦闘を愉しんでる感が物語にどんどんのめりこんでいけます。
でもこの善悪が物語のキーワードになって行くのですがどちらも依頼人に忠実であり自分の義を通しているだけなのです。
他にもあらゆるバイオレンスが散りばめられていますが、私が1番恐怖なのは女子高生アユミの「優しい人」というセリフです。
これらの部分が理解し難い方はコメンタリー上映もしているのでぜひ解説をききながら観るといいのですが、監督とプロデューサー・演者の話を聞きながら映画を観るという面白さも味わえます。
おすすめの鑑賞方法が、1度目は前方あるいは音がしっかりと聴ける座席で音からの刺激と光の描写、映像と心のリンクなどこの映画の世界観と自分自身が感じた心の動きを味わい、
2回目は座席後方フレーム枠外でコメンタリーを聴きながら、客観的視点で社会と自分との対比を考えることをおすすめしたいです。
私は初見が後方の座席で観たのでかなり感想が客観的視点になりましたが、それはそれでとても愉しめるものでした。
ただ、
音の不穏さなどは感じられたものの映画館特有の臨場感と色んな方向からの音が聴き取れていなかったので
2回目で世界観に没頭できた時に映画館で観るなら断然前の方だなと思いました。
そして、ディーン・フジオカさんプロデュースという事でディーンさん目当てで観た映画でもありましたが、コメンタリー上映を通して松永監督のストーリーや画の切り取り方にとても共感し興味を持ちましたし、音楽を担当した世武さんはじめ、創り手がワクワクしながら挑戦しながら創った作品というところが映画ファンなら納得できるのではと思います。
最初にも書きましたが、何度観ても誰が観ても、つまらなかったとしても、ついていけなかったとしても、観ることに意味のある映画です。
制作者が映画館を自分自身を写す鏡、実験装置と言い表しています。
価値観の相違を知るきっかけとしてこの装置を利用してみてほしいです。