ディア・エヴァン・ハンセンのレビュー・感想・評価
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孤独な人達に、ひとりじゃない
ひとりじゃない
君を見つけるよ
友達のいない孤独な少年エヴァン。
同じく孤独な少年が自死したことをキッカケに、彼は友達であったと家族に嘘をつく。
それは悲嘆にくれる家族を慰めたい優しい嘘。
同時に、幸せな家族に入り込む嘘でもあった。エヴァンはどうしようもなく孤独だったから。
コロナ禍で世界中に孤独で苦しむ子供達がいる。SNSで繋がっていても、埋められない圧倒的な孤独感。
エヴァンは人に、同時に自分に「独りじゃないんだ」と訴える。
誰かに友達のことを語りながら、彼の秘めた気持ちを打ち明ける。
彼の優しさ、寂しさ、何よりも孤独を感じ、涙が止まらなかった。
物語は、都合よく終わってはくれない。
偽物の夢から覚めた彼は、今度こそ自分と向き合い、前に進み出すー。
♫ ♫ ♫
冒頭から始まるエヴァン役#ベンプラット の独唱がもう言葉を失うくらい素晴らしい✨
なんて美しい声✨
これまで聴いた歌声で、私の中では最高の声のひとつ。
歌と演技が一体となり、彼はエヴァンだし、エヴァンは彼なくしては存在しない。
(補記)
コナーの家族から見れば、エヴァンは嘘をつき、家族に入り込んだ恐ろしい人物ともとれなくもない。
ただ、家族は、とくに母親は分かってるんだと思う。自分がエヴァンに嘘を望んだことを。エヴァンが孤独な子供で、ほんの少し優しさを間違えてしまったことを。
束の間でも家族であったからこそ、キッカケを間違えても、だからこそ、彼の本質を弱さを理解することが出来た。
私はそう思う。
さすが舞台で6年間エヴァンを演じてるだけあって、完全にモノにしてますね!歌も演技も抜群です!
今年102本目は『ディア・エヴァン・ハンセン』
トニー賞・エミー賞・グラミー賞とってるミュージカルの映画化となれば、観るしかない。
・・・あぁ、そうきますか…
予告編でなんとなく想像してた展開と結末なんだけど・・・
観せ方が上手い。楽曲が良い。
主役の子めちゃ上手い。
ある男子学生の自死に絡んで
さまざまな立場の人が思い悩み、ある事で笑顔を取り戻し、そしてまたどん底の悲しみに沈み…
中でも、息子を失った母親のエイミー・アダムスと主人公エヴァンのシングルマザー役のジュリアン・ムーアに感情移入が半端なく、泣ける。
同じ母親として、この2人の気持ちがとてもよくわかる。
特に、シングルマザーで一人息子を必死で育ててるエヴァンの母の苦労と大きな愛。つい昔の自分と重ね合わせてしまう。
『君はひとりぼっちではない。
闇に飲み込まれず、手を伸ばそう。
そして、周りは手を差し伸べよう』
とてもメッセージ性の高い映画。
期待以上に良かったです!!
追記◆
主人公の『罪』に関して
賛否両論に分かれる作品だとは思いますが…
一つの目安として
今までの人生において、あるいは現在、
『心から絶望し孤独を感じたことがある人』
あるいは
『自死を考えたことがある人』は
この作品が心の中に素直に入ってくると思います。
反面、この主人公に対して手厳しく批判的な人は、きっと、今までそんなに苦労したこともなく恵まれた人生だったんだろうなと思います。
予告編の出来が良いパターン
映画館で見た予告編が良くて、今年はイン・ザ、ハイツが素晴らしかったから、またミュージカル見たい気持ちもあって、行ってみた
率直な感想は、予告編の出来上がりが良かったんだな
確かに発端はやむを得ずついた優しさからの嘘だけど、その後のエバンの態度も、いかにもアメリカ社会らしい展開も、私は好意的に受け取れなかった
また、歌と歌声は素敵なんだけど、ダンスシーンはあまりなく、正直歌わなくても…ミュージカルである必要あるのかな?と思ってしまった
あと、主人公は歌も演技も良いのだけど、20代後半にしか見えず、高校生役はちょっとムリやりに感じた
多分、辛口になる理由の一番がこれ
母親役のジュリアン・ムーアが母親に見えない…
終盤、エバンが解決に向けて行動した後の展開があっさりし過ぎているのも、誰も1人じゃない、と歌っているのに、あのエンディングなのも納得いかない…
舞台版は大ヒットロングランらしいので、映画化に失敗したんだろう、と勝手に思うことにする
あなたが死んでいる間に…
善意の嘘が雪だるま式に大きくなって、引くに引けなくなってしまう展開は、サンドラ・ブロックの昔のコメディみたいだけど、お話し自体は非常に深刻で重いテーマです。主人公はじめ登場人物全員が胸が張り裂けそうなほどの孤独を抱えていて、その真情を素晴らしいナンバーで歌い上げるのに、思わずジーンときます。特に前半のヤマ場の追悼集会での熱唱は、主人公自身の孤独感の告白でありながら、こちらの心に寄り添うシンパシーに思わず泣けてきました。最後は少し端折るような感じだけど、140分弱の上映時間があっという間でした。主役のベン・プラットは、イケてない感じからパフォーマンスへの切り替えが見事です。エイミー・アダムスが母親役なのは意外だけど、息子の幸福な過去にすがる切なさが胸に迫ります。学校のオピニオンリーダー役のアマンドラ・ステンバーグの眼ぢからと美しさが際立っていて、今後が楽しみですね。
良い映画です。
付くつもりもなかった嘘から広がる世界。どんどん話が大きくなって行くのですが・・・
ミュージカルって知らなかったので歌い始めたときは「えっ!?」って思っちゃったけど、中々いい歌もありました。
めちゃくちゃ良い!ってわけではないけど、見てると気付かない内に自然と涙が流れるような、そんな映画でした。
【消化できない思い出】
僕には、自死を選択してしまった幼馴染の友人がいる。
大学に入って、少し経っていたが、これからという時で、今でも、その時の気持ちをうまく言い表すことは出来ない。
俯瞰して数学の難しい問題を解くような頭の良いやつで、論理的で、正義感も強く、信頼できるやつだった。
状況を聞いて、かなり苦悩していたことは分かったが、後から、噂のように聞こえてくる理由は、本人や家族に対する憶測や誹謗中傷のようなものもあって、本当にひどいなと怒りを覚えたことも思い出した。
こんなことがあって、僕には、この作品は少し苦しく感じてしまった。
面白くないとか、そういうことではなく、苦しかったのだ。
きっと、もっと苦しいのは残された家族だ。
だから、あれやこれやを思い返すことができるのであれば、良い思い出を糧にして欲しいと思う。
良い思い出がなかったら、探したり、探してもらったり、エヴァンが取り組んでみたようなのも良いと思う。
そんな中での、ささやかな嘘だったら、きっと誰もなにも言わないと思う。
それと、随分前の一時期、不眠症で薬を処方してもらったことがあることを踏まえて、苦しいことがあるのであれば、少し踏み出して、相談できる場所は結構あるので、ひとりで抱えないで欲しいと思う。
コロナ禍で孤独な人は増えているに違いない。
日常に対する真実という言葉の重さ
私は基本的に「映画はいつの世も時代を映す鏡」であらねばならないと思っている人間の一人なのですが、映画を沢山観ていると、全く種類の違う作品であっても、共通性を見出すことが多々あり、本作も最近観たばかりの『由宇子の天秤』のテーマの類似性を見つけて驚いている。
で本作ですが、私の好きなミュージカルであり楽曲も素晴らしく内容も興味深く、感動したのですが、ここでの評価は賛否両論の様です。
最近観た作品は賛否両論が多かったのですが、賛否両論にも色々な種類があり、作品によっては鑑賞レベルの差がそのまま賛否に分かれたりするものも多くあるのですが、本作の場合は鑑賞者の“嘘”に対する生理的反応によって評価が分かれる傾向が見受けられました。本作のポスターの中にあるキャッチコピーの“思いやりでついた嘘”という言葉に引っかかった人も多くいた様です。
で、『由宇子の天秤』では“真実”を看板にしている教育や報道機関の現場内での真実と嘘を天秤にかけ何が重要で、如何に真実と嘘とのバランスをとるかという事が大きなテーマでしたが、本作では非常にパーソナルな成り行きでの嘘(というより相手の誤解と本人の対処)が問題となり、その不可抗力的な嘘に対しても、鑑賞者によっては許せなかったり受けつけられず断罪してしまう人も多くいるという事が、本作の賛否両論で示されている様に思えた。
であるならば、この社会に蔓延る国家的・組織的な嘘に我慢できるのは如何なものかと、私は思ってしまうのですけどね。
特に本作が時代を映していると思えるのは、昔なら名前も知らなかったくらいの「コミュニケーション障害」などを含め、他の精神疾患である「双極性障害」「統合失調症」「パーソナリティー障害」「発達障害」「パニック障害」「PTSD」「アスペルガー症候群」等々、私には区別もつかないデリケートな人間の精神的な病をクローズアップしている点であり、そうした登場人物の物語であっても“嘘”は許せないという人が多くいるという事実が分かり、人間ってつくづく難しい生き物だと思い知らされました。
しかし、現実のSNSでも“思いやりの嘘”よりも“傷つける真実”の方が圧倒的に上回っている様に見えるという事は、そこにこそ人間本来の真実があり、そういう人からすれば、本作など甘っちょろい嘘にしか見えなかったのかも知れませんね。
まあ、どちらにせよ本作も「時代を映す鏡」であったと思うのだけど、こうした賛否両論の一般評価も含めての時代の鏡であるのだろうな。
疲れ病んだ人たちへのエールを、ミュージカル風に仕立てた映画
現代社会は、多かれ少なかれ誰でも神経症的になり、人生のどこかの地点で病んでしまう。特に、若い人たちには陥りやすい落とし穴だ。
そうした人たちへのエールを込めた映画だった。
心がギュッと痛くなりました
主人公の優しい嘘から物語がどんどん広まります。結局嘘は嘘、多くの人を傷つけてしまいます。人間の弱い部分、強い部分、両方が見えた見応えある映画でした。
母親とのやりとりの部分、私も母親なので、
泣けて見てられなかったです。
決してハッピーだけじゃない映画ですが、でもそのほうがナチュラルで、見た人が自分自身や他人のことを考えるきっかけになるんじゃないでしょうか。
私は良い映画だと思いました。
共感できない部分と心に響く部分と。
『ラ・ラ・ランド』『グレイテスト・ショーマン』の音楽チームが参加とのことで期待して鑑賞しました。
周りの人たちを傷つけたくなくて、ついてしまった小さな嘘。それが段々と周りを巻き込んで、大きくなっていってしまう物語。
その中で、今まで内向的だった主人公の行動や意識も少しづつ変わっていきます。
故人の家族だけではなく、孤独を感じている多くの人々にもSNSを通じて救いの言葉が広がっていくシーンや、一見悩みとは無縁そうに見えていた子も深刻な悩みを抱えていることが分かる場面にはグッときました。
ただ、感動的な場面でも、エヴァンの嘘が前提にあるのがどうしても気になってしまい、物語を通してなかなか没頭できず…。
けれど、「君は1人ではない」という一貫したテーマは伝わってきました。
扱うテーマのせいか、期待していた音楽は『ラ・ラ・ランド』『グレイテスト・ショーマン』などの盛り上がりにはかけますが、心に寄り添う温かい音楽が多いです。
今しんどい思いをしている人、孤独を感じている人には何かしら響くものがある映画ではないかなと思いました。
君は独りじゃない
鬱病を患っているエヴァンはセラピストからの課題で一日に一度、自分宛に「ディア・エヴァン」で始まる自分を励ますための手紙を書いていた。
エヴァンはどうやら木登りから落ちたらしく、腕をギプスで固定していた。
エヴァンは同じ学校に通うゾーイに密かな恋心を抱いているのだが、ゾーイの兄であるコナーも精神を患っていた。ある日、コナーはエヴァンの腕のギプスを見てそこに自分のサインを書く。
そして精神が不安定なコナーは、エヴァンが自分宛に書いた手紙の内容に逆上し、そのまま手紙をエヴァンから取り上げてしまう。
後日、学校で呼び出されたエヴァンは、コナーの両親から彼が自殺したことを知らされる。
コナーの手元にはエヴァンが自分宛に書いた手紙があったのだが、両親はそれを息子が親友宛に書いた遺書であると勘違いしてしまう。
本当のことを言い出せないエヴァンは、善意からありもしないコナーとの思い出話を作り出して、両親とゾーイの心に救いを与えようとするのだが、それが思わぬ事態を引き起こしてしまう。
全体的に暗いトーンの作品だが、音楽がそれを和らげている部分はあった。
ミュージカルは辛い現実を歌と躍りで一瞬にして幻想的な世界に作り替えてしまう力がある。
しかしこの作品は少し趣向が違った。主人公が歌い出すと、他のミュージカル作品ならアンサンブルが主人公の夢見る世界を形作る役割を果たすのだが、この作品では歌を歌う登場人物以外は現実の時間をそのまま生きていく。
もし自分が明日いなくなっても、誰か気づいてくれるだろうか。
エヴァンは常に孤独と戦い続けている。
それはミュージカルの世界でも変わらないのだ。
歌が現実を幻想的なものに変えてくれるのは、エヴァンがコナーとの嘘の思い出を語る時だけだ。
たとえ嘘だとバレた時、多くの人の心を傷つけることが分かっていたとしても、目の前の人の心を救うために善意でついた嘘は、残酷な現実よりもずっと真実に近いのではないかと思った。
エヴァンがスピーチで語った言葉は多くの人の心を動かす。
どれだけ孤独でも、君を見つけてくれる人は必ずいる。
これは決して綺麗事ではなく真理である。
この作品が心に刺さったのは、エヴァンのような心に病を抱えている人間だけではなく、大抵の人間がどこかしら心の中に孤独を抱えているからだと思った。
そしてどんな人間でも必ず一人は寄り添ってくれる者がいる。
どんなに悪いところがあっても、どうしても嫌いになれない人間は誰でも一人や二人いるだろう。
メッセージはとても刺さるが、いかに善意とはいえ、嘘をついてしまったことで徐々に自分を追い込んでしまうエヴァンの姿は観ていて辛い部分もあった。
そして今の世の中が、スマホの操作ひとつで世界と簡単に繋がってしまう怖さ、そして不特定多数の悪意にさらされてしまう怖さを改めて思い知らされた。
一度口に出した言葉と同様に、一度投稿してしまった書き込みは消すことが出来ない。
とても辛い現実を、決して美化することなくありのままに突きつけられる作品だが、観終わった後には不思議と勇気をもらったような気がした。
主演のベン・プラットを始め、キャスティングはどれも最高だった。特にアラナ役のアマンドラ・ステンバーグが印象的だった。
そして楽曲はどれも最高。
舞台版の演出は知らないが、忘れられないミュージカル作品のひとつになった。
泣けるミュージカル
ミュージカルというと、歌って踊って楽しいというイメージだけれど、歌は歌われるが、素晴らしい歌詞と素敵な歌声
今の時期を映し出すSNS で、歌のフォロワーが増え、遺書をアップしたことで窮地に陥ってしまう
ちょっとしたことで、世の中が激変してしまう
家庭環境、貧富の差などまさに現代社会の問題をミュージカルの世界で、歌という道具を使って上手に表現している
エンドロールの言葉が心に響く作品だった
期待外れでした
「思いやりの嘘」という予告から期待して観ましたが、私には「思いやりの嘘」ではなく保身からの嘘としか思えませんでした
ついついてしまった嘘がどんどん大きくなり、その嘘を守るために「それはしたらダメでしょう」という事までしてしまった主人公には全く共感できませんでした
嘘をついた言い訳、償いのためにした事で帳消しになるとも思えず
ジュリアン・ムーアとエイミー・アダムスはとっても良かったです
「人はみんな孤独、でも一人じゃない」というのは大切なメッセージと思います
歌声だけ。
キャストの歌声は素晴らしいけど、
同級生の自死とエヴァンの嘘から始まる
ストーリー展開に違和感と何かわからないけど、
気持ち悪さみたいなものがあって、どうしても
入り込めなかった。
エヴァンのように精神的に不安定なら、いくら嘘から
始まった事が自分に安定をもたらしても、安心して
いられないんじゃ無いかと思いました。
クライマックスで事実を告白したエヴァンの気持ちも
わからなくもないけど、肯定はできないかな。
ずっとしっくりこないものが、映画の鑑賞中ありました。
とても残念です。
現代的な恐れと恐怖
最初の緊急事態宣言中、主演のベン・プラットらのUPした
「You will be found]をユーチューブで聞き、いったいどんなミュージカルなんだろうと
ニューヨークなどに行けるはずもなく悔しく思っていたところでの
映画化、そしてロードショーだった。
作中に登場する孤独や、人と人のつながりがとても「現代的」だと感じた。
本音を吐けない心の孤独に、語っては居場所を失うのではという恐怖。
そのフチで主人公のとった行為は許されるはずもなく、
しかしながらもたらされる充足感と周囲の喜ぶ顔は背徳と抱き合わせで、
ああ、ヤバすぎるんだけどもう引き返せない。
始終、付きまとう居心地の悪さが、
せずにおれない渇望度合いが強烈だった。
(もう依存である)
だがこうしたごまかしは大なり小なり誰もが一度は味わったことが、
もしくは継続中ではないのかと思えてならない。
そして迎えるクライマックス。
破綻するほかないと思っていたが、
回収されてゆく物語は、しょっぱいけれど不思議なほど安堵に満ちていた。
果てに主人公に残ったものを思えば、甘さ控えめのリアル志向だ。
まさに今を鋭く切ったブロードウェーミュージカルの実力、と観る。
し、今、見るからこそ響く物語でもあると感じる。
「You will be found」が一番好きな曲だろうと思っていたが、
主人公の母親が歌う「So big So mall」が一番良かったな。
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