「良いところもあったけどモヤモヤ」ディア・エヴァン・ハンセン vvt76さんの映画レビュー(感想・評価)
良いところもあったけどモヤモヤ
賛否両論わかれており、気になっていた作品。
自分も自死を意識するほど精神的に辛い経験をしたことがあるため共感できる点はあるだろうと思い、いざ映画館へ!
個人的な感想ですが、見ている途中で主人公に対して「こいつ…」と思ってしまいました。
見終わった後ややモヤモヤが残る
良いところももちろんあったので、以下個人の意見を述べます。
【良かったところ】
・音楽 ★★★★★
異論はない。ミュージカルほど鬱陶しくはない演出。歌唱力はもちろん、歌詞が心に響くものだった。普通にダウンロードして聞きたい。元気が出る曲だ。
・主人公以外のキャラクター ★★★★☆
なかなかに味のある登場人物が多い。友人はゲイでコミカルなキャラ、活動的な女の子が実は心に傷を負っている、コニーの母は再婚していたり、主人公の母はシングルマザーだったりと。
・結果的に遺族は幸せになれている点 ★★★☆☆
最後の果樹園でのやりとりを見る限り、主人公エヴァンのついた嘘は少なからず遺族の心に色々な意味で影響を与えることができたのだと思う。
エヴァンとの出会いと優しい嘘(?)によって遺族がはじめに思っていた「追悼しない」という気持ちから変わったのだろう。
・誰も一人ではないよ というメッセージ性 ★★★★★
エンドロールにも出てくる。これだけはちゃんと伝わってきた。
【ツッコミたいポイント】
・ストーリーの設定
主人公は自死した友人の遺族に対して、親友を偽って、過去のありもしないエピソードを作り出して語る。
挙げ句の果てに自死した兄の妹と結ばれる。
・遺族に嘘を打ち明ける時に歌うなや
シリアスなシーンのはずなのにそこで歌う?!と心の中で突っ込まざるを得なかった。自分が遺族ならキレ散らかすであろう。
・エヴァンが過剰に責められないところ
ついた嘘が嘘だけにもっとボロクソに叩かれるかと思ったがそうでもなかった(見えている範囲では)。
この煮え切らない感情は、恐らく現代社会で履き違えやすい「正義」なのかなと自省してしまった…
【もう少し知りたかったところ】
全体的に過去の描写や回想シーンが少なかったように思う。
・コニー自死の背景
なぜドラッグに手を出したのか、自死の引き金はなんだったのか(エヴァンの手紙とは思いたくない…)
・コニーの幼少期
新しい父が来てからすぐにキャッチボールをしたようだが、コニーが死んですぐの父を見る限り父とは溝ができていたのではないかと思われた。
(学校でエヴァンが両親に呼び出された際に、「本当にこの人ら子供を失ったのか?」と思うほど毅然としていたので)
・エヴァンが心に傷を負った理由
うつと社会性不安があり、時々トイレに駆け込むシーンもあった。
心に傷を負う理由や自死の理由やきっかけは本当に人それぞれだと思うので、ここはあえて視聴者に任せたのかもしれません。