劇場公開日 2021年11月26日

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「つらさへの共感」ディア・エヴァン・ハンセン コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5つらさへの共感

2021年11月30日
iPhoneアプリから投稿

メンタルをやられて、ドラッグや自死に向かう子どもたちの問題をミュージカルに仕立て、その舞台を映画化した作品。

内向的で社交不安の強く、孤独にさいなまれている抗うつ剤漬けの少年が主人公。
家には(片親で貧乏で仕事ばかりで)家族がおらず、学校にも友達が一人もいない。
思っていることを話せない、誰かに強く言われたらなんでも「はい」って言ってしまうタイプ。
そんな彼が孤独のつらさを語るのに、感情を歌詞に乗せるミュージカルという手法は適していたと思うのと。
映画という手法は、苦悩する表情を追い、観る側に「子どもたちはこんなにつらいと感じているんだ」と理解させるのに最適解だと感じました。

予告からわかっていたことだが、つらさに共感させるのが狙いだから、当然「面白い」より「つらい」が勝つ。

特に子どもの頃にイジメにあったり、イジメほどではなくとも居場所がなかったり、メンタルをやられたことがあったりという人間に対し、ザクザクと精神を刺してくる表現が連続する。
保身や、善意からついた小さな嘘をごまかすためについた新たな嘘に、自ら苦しめられていく展開はきつい。
映画として出来がいいぶん、つらさも増し増し。

抗うつ剤や、抗不安剤的な精神安定剤、睡眠薬などを飲んだ経験がある(特に現在進行形の)人には、全力で回避することを勧めます。

逆に、うつをよく理解してない人には観てほしい。
個人の資質や体質ではなく、環境によってやむなく陥る、真面目な子ほど病気になり薬に逃げたりせざるをえない実態が分かると思う。
また、一見社交性がある子どもにも、演技しているケースがあることも。
誰かが、手を差し伸べ、話を聞いてあげることの重要性も

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コージィ日本犬