劇場公開日 2021年11月26日

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「セリフの延長線上の歌声はgood。偽りのネット上の承認要求も現代風。ただ、今ひとつ物足りない。」ディア・エヴァン・ハンセン 満塁本塁打さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5セリフの延長線上の歌声はgood。偽りのネット上の承認要求も現代風。ただ、今ひとつ物足りない。

2021年11月27日
iPhoneアプリから投稿

心の弱い孤独な高校生の青年が、セラピストに勧められて、自分宛の手紙を習慣に。

それをプリントアウトしたものを、馴染みのない青年が奪い、イタズラでギブスに署名した直後に!自殺

あり得ないだろ、そんだけ元気ありゃ。

ツーか人の死、ましてや自分の息子の自殺に直面してだなぁ・・・
自殺した青年の両親が立ち直りが早すぎ。

手紙が死の要因、またはそれに触れているならば、事実関係に固執するのは肉親として当然だが
関係ない手紙なら、悲しみに打ちひしがれ、手紙などかまってられないし、精神ボロボロなはず
しかし、自殺して比較的すぐにもかかわらず、結構アッケラカンとしていて、取り乱していない。

物語としては予定調和の起承転結作品。主人公の心情もよくわかります。

音楽も良い。自然なミュージカル。
ただ、少し違和感が・・・

この映画中、そこそこの小金持ちの自殺したコナーという男子の家。食卓に盛られたリンゴやらオレンジやらブドウだはのフルーツが、いかにも当然の如く置かれているが、いちいち、さまざまなフルーツ常温で置かないでしょ
今時。冷蔵庫に入れるだろう、好きなフルーツだけ。なんかさりげなく置物のように置かれた
それが、この映画の若干の物足りなさ、嘘臭さを象徴している。

ミュージカル作品としてはパンチは無いが、自然な心の叫びが響き、なかなか良い。
現代のSNS全盛時代も、自分をありがまま信じ、他者のありがままを受け入れる。
そういった方向性はgoodです。嘘偽りを承認されたとて意味がないのは良くわかる
まあ良かれと思って偽の友人を演じたのは心情的にはわかる。

でも悲しみは悲しみとして自然に描こうよ。日本では「四十九日」と言って
その期間は喪に服し、悲しみを受け止めるんですよ。

ネットの拡散やクラウドファンディングは今風で良い描き方
しっかし、・・アメリカの高校って、むちゃくちゃショボいし、品が悪い。
まぁいいかねぇ。「君は孤独じゃ無い」というメッセージ性と自然な歌の導入で
秀逸。結構こういう作品、意外と客が入っていた。
カップルが目立った。いいんで無いの
今時。

満塁本塁打