「お兄さん、それはないよ」殺人鬼から逃げる夜 bionさんの映画レビュー(感想・評価)
お兄さん、それはないよ
決着の付け方はよかったんだけどね。最初から殺人鬼が登場してしまっているからサスペンス的な展開がなくてちょっと物足りなかった。
耳が不自由な人が使っているサウンドモニターなるものを初めて知った。ギョンミにフォーカスが当たると無音状態になり、音が聞こえないギョンミの置かれている物理的環境が体感できる。音を光で知らせてくれるセンサーがギョンミにとって必需品であることがよくわかる。
音がない世界をうまく演出していたんだけれども、殺人鬼の正体も最初からわかっているから、最後まで鬼ごっこ的な展開になってしまった。プロットが甘かったかな。
耳ではなく目が見えない元警官が主人公だった『見えない目撃者』は、真犯人に迫っていく要素があって最後まで息つかせない展開で傑作だった。そのレベルに行くには、鬼ごっこ以上のサスペンス要素が必要だと思う。
エピローグはちょっと泣いてしまうくらいだから、そんなに悪くはないんだけどね。
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